ササキ ノノカ
(更新)
海外でも人気のある日本のマンガ。実際に、世界中でマンガキャラクターのコスプレイベントが年に何度も開催されているんだとか。日本のマンガをきっかけにすれば、海外の人との会話も弾むかも……!?
というわけで今回は、日本のマンガのなかでも特に人気の高い『週刊少年ジャンプ」で連載されていたものに絞って、その名セリフを英語でご紹介します!
“ I don’t compromise……It’s my Nindou !!”
「言ったことは、曲げねぇ。……それが俺の忍道だ!!」
まずご紹介したいのは、海外でもメジャーな『NARUTO-ナルト-』。落ちこぼれ忍者のうずまきナルトが、皆を見返すべく、里一番の忍の称号「火影」を目指して数々の試練を乗り越えていくストーリーです。
そんな「NARUTO」からは、主人公ナルトが放つ信念の言葉。
“compromise” は「妥協する」という意味で、これが「曲げる」に置き換えられます。他にも「(主義を)曲げる」という意味合いでは “sacrifice”、“depart from” などの言い回しも使えます。
このように、「(意志・規則)を曲げる」の意味では、ものを曲げる際に使われる “bend” を使うこともあります。
“Do me a favor. Keep this hat safe for me? This hat means a lot to me. Promise that you'll give it back to me someday......when you've become a great pirate.”
「この帽子をお前に預ける。おれの大切な帽子だ。いつかきっと返しに来い。立派な海賊になってな」
こちらもお馴染みの『ONE PIECE』。海賊王を目指す主人公ルフィが、仲間とともに航海を続ける冒険活劇です。
このセリフは、ルフィが海に出るきっかけになった「赤髪のシャンクス」の言葉。
「おれの大切な帽子だ」が “This hat means a lot to me.” と訳されるところがかっこいいですよね。
ちなみに、“do me a favor” は、「お願いです」をあらわすイディオム。日常で使うことはあまりありませんが、TOEICをはじめとした試験の穴埋め補充問題で出されることもあるので、覚えておきましょう。
“If you give up, that is the end of the game.”
「あきらめたら、そこで試合終了ですよ…?」
次は『SLAM DUNK』です。告白50連敗中だった桜木花道が、一目ぼれした赤木晴子にバスケット部への入部を勧められ、初心者にもかかわらず入部。試合を重なるうちにバスケットの魅力に気づき、徐々に頭角を現していく青春マンガです。
そんな『SLAM DUNK』には、今も語り継がれる名セリフがたくさんありますが、なかでもコーチの安西先生によるセリフはあまりにも有名です。
If 節がコンマ以下の “that” で受けられているので、節全体が主語のような働きをしています。
中学英語のみでできる簡単な表現ですが、ずっしりと心に響いてきますよね。一度は口にしてみたいセリフの1つです。
“But, I won't do that.”
「だが断る」
『ジョジョの奇妙な冒険』は、主人公ジョジョが「波紋」や「スタンド」といった超能力を使って、悪に立ち向かうストーリー。
「ジョジョ立ち」や、著者の名前にちなんだ「荒木節」と呼ばれる独特の言い回しなど、かなりクセがあることで有名ですが、その分、熱狂的なファンが後を絶ちません。
ご紹介するのは、第4部に登場する岸辺露伴の名言。
ハイウェイスターという悪役に追い詰められ、命を助けてやるかわりに仲間を差し出すよう要求されたときに言ったのがこのセリフです。
「断る」を直訳すると“reject”ですが、“But, I won't do that.”としたほうが、「そうしたくない」という自分の意志の強さをあらわすことができますね。
ちなみに、名セリフが多いことからか、昨年末に『「ジョジョの奇妙な冒険」で英語を学ぶッ!』という本も販売されています。文法解説もきめ細やかにされているので、「ジョジョ好き」な英語学習者が使えば、メキメキ上達すること間違いなしでしょう。
“what is he”
「何…だと…」
海外でも人気の高い『BLEACH』は、霊感の強い高校生・黒川一護が主人公。死神の力を得て敵を倒していく、ジャンプらしい王道ストーリーで人気を博しています。
主に登場人物が驚いたときに使われるこのセリフは、あまりの使用頻度の高さから、共通言語としてファンの間で広がっているのだとか。
言い回しからはちょっと意味が連想しにくいですが、英語版『BLEACH』の言い回しも毎度 “what is he” なのか確かめてみたい気もします。
“I have no choice because I promised you. Let's get married?”
「約束したもんは守らなきゃな、しょうがねぇ結婚すっか」
7つ集めると願いが叶うという秘宝ドラゴンボールと主人公・孫悟空を中心に描かれる宇宙規模の物語。「友情」や「夢」といったジャンプらしいテーマが随所に散りばめられています。
そんなストーリーのなかには、読者がアツくなる名場面・セリフが数多く存在しますが、今回は、悟空が妻・チチにした能天気なプロポーズから。
「しょうがねぇ」に当たる部分が “I have no choice.” ですが、この他にも「仕方がない」という意味を持つ英語の言い回しはいくつかあります。
たとえば、失敗したときにつぶやくように言うなら “oh well”、どうしようもなく避けがたい問題にぶつかったときには “I can’t help it.”。
そのときどきに応じて微妙なニュアンスも使い分けられるようになるといいですね。
“You are already dead.”
「お前はもう死んでいる」
荒廃した世界で、北斗神拳を受け継ぐ主人公ケンシロウが、悪を倒していくハードボイルドマンガ。断末魔の叫びや、闘いのなかで肉体が破裂する描写が特徴的です。
なかでも敵を倒す度にケンシロウが発する決めセリフはあまりにも有名で、一度耳にしたら忘れられません。
完了形の “You have died.” でも間違いではありませんが、「この一撃で死んだ」というニュアンスを表現するためにこんな言い回しになったのでしょう。
“It is not katana but people who treat katana who create a new era.”
「時代を創るのは『刀』ではなく、それを扱う『人』でござる」
『るろうに剣心』は、幕末の動乱期を舞台に、「人斬り抜刀斎」の異名を持つ緋村剣心と神谷薫の恋を軸に展開していくアクションストーリー。サムライというティピカルな日本人像が海外の方にもウケているよう。
今回ご紹介するのは、殺人奇人の刀に魅入られた敵との闘いのなかで発せられた、剣心の志を象徴する言葉。
人斬りの過去を持つ剣心だからこそ、言葉の重みが感じられますね。ちなみに、学校では下記のような表現も習うと思います。混同しないよう気をつけましょう。
“What irony. Such beauty, sprung from such an ugly soil. ”
「皮肉だね、悪党の方が綺麗な花が咲く」
霊界探偵になった浦飯幽助(うらめしゆうすけ)が、霊や妖怪との戦いのなかで、仲間とともに成長していく冒険活劇です。
ここでは、植物を召喚し武器にする蔵馬(くらま)のセリフをチョイス。暗黒舞踏会において、蔵馬が敵、呂屠(とろ)への最後の一撃で咲かせた花を見て言った言葉です。
原文の詩的なニュアンスを尊重した素敵な表現ですね。
なお、“sprang” は「出る」をあらわす “spring” の過去分詞形。“sprung from 〜” で「~から出る、現れる」という意味の過去分詞形になります。
“what + 名詞” で「なんて○○(名詞)なんだ」という感嘆文になることも、ここで復習しておきましょう。
ジャンプマンガではありませんが、日本のマンガ界に彗星のごとく現れた話題の作品を、最後に1つだけご紹介します。
“People who can't throw away something important can never change anything. ”
「何も捨てることができない人には 何も変えることはできないだろう」
『進撃の巨人』は、巨人と人間との戦いを描いたダークファンタジー。緊迫感のあるアクションシーンや登場人物の綿密な心理描写がファンの心をつかんだのか、立て続けにアニメ化・実写映画化されるなど、人気はとどまるところを知りません。
感慨深い名セリフも多く登場しますが、ここでは、アルミン・アルベルトが女型の巨人との戦いのなかで発したセリフをピックアップしてみました。
甘えを許さない真に迫る語調から「ビジネスにおいても通用する言葉だ」とネット上でも反響を呼んでいるそう。
ここで、 “something” と “anything” の使い分け方について。
「(特定の)何か」を表す “something” に対し、“anything” は「(任意の)何か」を表します。肯定文では “something” を、否定・疑問文では “anything” をと教わった方も多いかと思いますが、その限りではありませんので覚えておきましょう。
いかがでしたか? 馴染みのあるジャンプマンガの名セリフですが、英訳すると「こんな言い回しになるんだ!」と意外に感じたものもあったかと思います。
お気に入りのストーリーを英語で読めば、染み込むようにボキャブラリーが増えていくはず。名セリフをたくさん覚えて、海外の方とマンガの話で楽しく盛り上がってみてくださいね。