K. Inoue
(更新)
「今日は雨になるかもしれないな」
「彼は具合でも悪かったのかもしれないね」
このように、100%の確信が持てないことを「~かもしれない」という言葉で表現することは日常的にとてもよくありますね。
「たぶん」「おそらく」「ひょっとすると」などの言葉が添えられることも多くあります。
今回は、そんな「~かもしれない」を表す英語表現をご紹介。
確信の度合による使い分け方も解説しますので、さまざまな状況に対応した言い回しをぜひたくさん覚えていただければ嬉しいです。
「~かもしれない」を表す代表的な方法は、助動詞を使うものです。
助動詞は<助動詞+動詞の原形>の形で表し、現在または未来のことがらについて述べるときに使います。
文脈によって「~かもしれない」を表す助動詞を推量の助動詞と呼びます。
同じ「~かもしれない」でも、どの程度確信しているかによって英語での表現方法が変わってきます。
まずは比較的確信度合の低いものをご紹介します。
may は、確信の度合いとしてはおおむね50%くらいで、どちらとも言えないような、比較的可能性の低い「~かもしれない」を表します。日本語の「~かもしれない」に最も近い助動詞と言えるでしょう。
「彼は今日は具合が悪いのかもしれない」
「彼」の「現在の体調」について触れています。
一方、may の過去形 might もほぼ同じ意味を表しますが、これは過去に「~かもしれなかった」という意味ではなく、可能性が may よりも低いことを表します。
ただ実際の会話では、確信度合については may も might も大差なく使われることも多いです。
「今夜は雨が降るかもしれない」
「今夜」という「未来の雨の有無」について触れています。
ちなみに、may には「~してもよい」のように許可を表すことをご存知の方もいらっしゃると思います。
この「~してもよい」と「~かもしれない」の二つの意味には一見つながりが見当たりません。
しかし、「~してもよい」とは「妨げるものはないから自由にすればよい」という意味で、この「妨げるものがない」という意味が「可能性を閉ざすものがない」という解釈に結びつき、「可能性がありえる」→「~かもしれない」という意味も生んでいます。
また、「自由にすればよい」とは「する・しない」の2択が投げかけられていることでもあります。つまり50%です。そのイメージによって「~かもしれない」は50%くらいの認識につながっているというわけです。
「~することができる」でよく知られている can は「可能性」を表し、特に can be~ の形で「~かもしれない」の意味で使われます。
「それは危険かもしれない」
また、can の過去形である could も「可能性の低さ」を表し、「~かもしれない」の意味で使われることがあります。
「それは真実かもしれない」
この could も「~かもしれなかった」と過去を表しているのではなく、あくまでも「現在の可能性」について言及しています。
can も could も「そういう可能性がある」くらいですから、50%かそれよりも下回る程度の確信度合であると考えるとよいでしょう。
つづいて、起こりうる可能性が現実味を帯びていて、「おそらく・きっと~だろう」のように高い確信度合を表す助動詞もご紹介します。
will は話し手の「意思」を表し、ほぼ間違いなくそうだと思っているときに使うことができます。
「(電話をかけてきたのは)きっとトムだ」
また、will の過去形 would も「きっと~だろう」という高い確信表現として使うことができます。
「彼ならきっと同じことをするだろう」
will も would も確信度合としては80%~90%以上くらいです。
must は強い「圧力」を表し、「それ以外にありえない」、「~に違いない」という具合に、100%に近いくらいの確信を表します。
「あんな高級な腕時計を買うなんて彼はお金持ちに違いない」
should は「当然」を表し、「~なはずだ」という意味を表すことができます。
「これが正解のはずだ」
助動詞のより詳しい使い方については、こちらの記事もぜひご参照ください。
また、助動詞の過去形については仮定法も関わってきますので、仮定法について解説した記事も合わせてご覧ください。
ここでは、過去のできごとに対して英語で「~だったかもしれない」を表す方法をご説明します。
作り方は、<助動詞+have+過去分詞>です。
助動詞は後ろに動詞の原形を置くことしかできないため、過去を表すときに動詞の過去形を一緒に使うことができません。
そこで、<have+過去分詞>、つまり完了形と組み合わせることで過去の出来事を表現します。
「彼は昨日具合が悪かったのかもしれない」
「昨夜は雨が降ったのかもしれない」
「それは可能だったかもしれない」
「彼ならきっと同じことをしただろう」
「彼は若い頃はお金持ちだったに違いない」
「荷物はすでに到着したはずだ」
※<should+have+過去分詞>については、下の例文のように、「~すべきだった(のにしなかった)」という後悔の気持ちを表すことも多いので、使い方に注意が必要です。文脈によって意味を判断する必要があります。
「昨日の夜に彼女に電話しておくべきだったよ(なのにしなかった)」
助動詞以外に、もともと「~かもしれない」という意味を持つ副詞を使う方法をご紹介します。
「たぶん」という意味で、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
「たぶん彼は嘘をついているよ」
また会話では、次のように maybe の一言だけで片づけてしまうこともよくあります。
「パーティーには来るんでしょ?」
「たぶんね」
ただし、こうした maybe の使い方は、助動詞 may で見たように50%程度の低い可能性であるため、あまり積極的な響きを持ちません。
したがって、どっちつかずで他人事のようなニュアンスになることもあり、ちょっとぶっきらぼうな印象を相手に与えてしまいかねないことに注意が必要です。
perhaps は maybe と同等か、もしくはそれより少し低い程度の確信度合で、「ひょっとすると」くらいの日本語が合う英単語です。
また、ややフォーマルな響きがあることも特徴です。
「ひょっとすると、その案件について再度議論する必要があるかもしれません」
possibly は perhaps と同程度の確信度合で、「その可能性はある」「可能性はゼロではないだろうね」といったニュアンスを持ちます。
「ひょっとしたら、もうあと20分待たなければならないかもしれません」
「それが本当ってことある?」
「ありえるだろうね」
probably は最も確信度合が高い副詞で、80~90%以上の可能性での「おそらく」を表します。
「今後30年で日本はおそらく大規模な地震に見舞われるだろう」
「彼らは来月、本当に新しいビジネスを始めるのですか?」
「おそらくそうだろうね」
このように、yes や no の前に置いて多少あいまいなニュアンスを持たせることもできます。
いかがだったでしょうか。
同じ「~かもしれない」を伝えるにも、いろいろな英語表現があり、また文脈や状況によって適切な使い分けが必要です。
それはつまり、私たちの日常は100%確実ではないことに溢れている、ということの証でもありますね。
さまざまな「~かもしれない」の使い分けができるようになると、会話の幅が広がるばかりか、会話レベルそのものがより高いものになります。
助動詞を苦手とされる学習者の方は多いですが、とりあえず「~かもしれない」に絞ってその意味と使い方を覚えられるとよいでしょう。
perhaps や probably などの副詞もとても使い勝手が良いので、ぜひ会話の中で試しながら使いこなせるようになってください。