DMM英会話ブログ編集部
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英語学習において、名詞や動詞はある程度丸暗記で覚えることが有効とされていますが、前置詞は違います。
その前置詞に対応する日本語を覚えていればいい、というわけではなく、前置詞が表す “空間的な意味合い” を理解しておかないと、正しい英文理解には至りません。
前置詞を理解すれば英語の世界はもっと広がります。今回は、イメージや感覚を大事にしながら前置詞を学習していきましょう。
前置詞とは、名詞の前に置いて場所や方向、時などを表す言葉です。
“to” は名詞 “school” の前に置かれた前置詞です。“I” と “school” の関係性、つまり「私は学校(へ)行く」という方向を示しています。
前置詞はもともと空間的な概念から始まり、それが心理的、抽象的な概念へと発展してきました。前置詞をきちんと理解しておくと、複雑な文章でも整理して把握することができます。
“in” はその対象物が「空間の中にいる」イメージを持っています。
場所を表す意味を持つのはもちろんのこと、派生して「期間」も表します。
「~の中にいる」という意味を表したいときに使えます。
「今は建物の中にいるよ」
ただし、建造物だけに用いられるわけでなく「東京にいる」「アメリカにいる」のように地名に対しても使用できます。
「昨日は東京にいたが、今日はアメリカにいます」
ある程度の長さを持った「期間」を表す場合には、“in” を使います。月・年・季節・年代などが該当します。
“on” も “in” と同じく、場所や時間を表す前置詞です。“in” が「~の中」というイメージに対し、“on” は「~の上」、つまり対象物が面に接触していることを示します。
「私の携帯は机の上にあります」
“on” はこのように「~の上に」と訳されることが多いですが、必ずしもそうとは限りません。
「私は壁の写真を見た」
このように、壁(の面)に接触している場合も “on” を用いますし、“electric fan on the ceiling(天井の扇風機)” のように、天井にも “on” を用います。
つまり、“on” を用いるときに重要なのは物理的上下関係でなく、その対象物が必ず何かに接していることなのです。
“on” は日付・曜日など特定の日を指す場合にも使います。
“at” も場所と時間を表す前置詞で、「ある一点」にあるというイメージです。
“in” は「空間」、“on” は「面」、“at” は「点」と考えると覚えやすいでしょう。
同じ場所・建物にいても、それを伝える際の主観の違いによって “at” を使ったり “in” を使ったりします。比較してみましょう。
例えば、駅にいるときに誰かから電話がかかってくるとします。ただ駅にいることを相手に伝えたい場合は、
「わたしは駅にいます」
地図上の一点を指し示すイメージだからです。
これが駅での待ち合わせで、もう既に駅内に入っていることを言いたければ、
「私は駅(の中)にいます」
その場所が頭の中で「点」としてイメージされるときに “at” を用います。
どちらも「東京に着いた」と訳せますが、“at” を使っている場合、話し手は 東京を「点」として考えています。例えば、新幹線に乗っている人が乗り換えで東京に到着したのであれば、東京は通過点にすぎない、つまり「点」として捉えています。
一方で “in” を使っている場合、話し手は東京を三次元的な「空間」として捉えているのです。
時の一点や時刻、時節を表します。
“to” の基本的な概念は「相対する物を結ぶ」です。
ここから「目的地への方向・到達」という概念と、「関係・対象(~にとって)」という概念に派生します。
「昨日公園へ行った」
「次の角を左に」
「気温は華氏60度まで上がった」
「この問題は私には簡単だ」
「Eメールを先生に送った」
「奨学金は彼に与えられた」
“to” が目的地に「向かっていく」イメージがあるのに対し、“from” は「目的地から遠ざかっていく」イメージがあります。
「彼女はカナダから来ました」
「これはユミからの手紙だ」
“from” の後の名詞が物事の起点を示し、そこからヒト・モノが移動したことを示しています。
例文では、“Lisa” が “Canada” から、“letter” が “Yumi” から離れるイメージです。
「始めから読んでください」
「パーティーは8時からスタートする」
※ “at 8 o’clock.” も使えます。日本語でも「〜時から(from)スタート」と 「〜時に(at)スタート」の意味がほとんど同じように、英語でも伝えたいニュアンスによって “at” と “from” を使い分けてみてください。
“of” を日本語に訳すと「~の」となりますが、イメージとしては「取り出す」という感覚です。“A of B” は「BからAを取り出す」とイメージしてください。
「彼らのうち1人が切符を失くした」
「彼はこのチームのリーダーです」
「その花の色は美しい」
数的・量的に大きな集合体から、より小さな一部・一要素を抜き出す際に使われるのが “of” です。
「私の父は中古車を買うために何千ドルか払った」
「彼は自分の土地のいくらかを売った」
“a cup of tea(1杯のお茶)” “a slice of bacon(1枚のベーコン)” のように、「数えられない名詞」の単位を示す際には “of” が使われます。
「このアルバムは昔を思い出させる」
「彼は孫を誇りに思っている」
このように、人に対してある感情を持ったり行動を喚起したりする際に、“of” 以下でその対象を特定することができます。
“for” は方向を示す前置詞ですが、同じく方向を示す “to” としっかり区別する必要があります。
“for” のイメージが「目的地に向かっているが、まだ到達していない」のに対し、“to” では「目的地に到達している」というニュアンスがあります。“for” は「経過」、“to” は「結果」と言うこともできます。
「私は駅に行きました」
これは「駅に行った」となり、実際に駅に到着しています。
「私は駅に向かいました」
こちらは「駅に向かった」となり、目的地は駅ですが実際に駅に到着したかどうかはわかりません。
前置詞 “by” は、対象物が何かの身近・真横にあるイメージです。
「私の家は川の近くです」
「彼女は私のそばに座った」
空間的な意味から時間的な意味に派生し、「(ある時刻の)そばに」から「~までに」という意味になります。
「この仕事は今月末までに終わらせる予定です」
空間的に近くて何かしらの影響を持つことから、手段を表す「~によって」という意味にもなります。
「この手法でこの問題は解決できる」
“by” と “until” はどちらも「~まで」と訳されるため、混乱してしまいがち。
しかしこの両者は、実は大きく異なる意味を持っています。
「5時までに家にいる(5時までに帰る)」
「5時まで家にいる」
“by” は、それまでに何かをやる、終わらせるといった「期限」を表します。
「明日までにこの報告書を仕上げなくてはならない」
“until” はそれまで何かをし続けるという「継続」を表します。
「明日までこのホテルに滞在する予定だ」
日本語訳ではどうしても英語のニュアンスの違いを伝えきれない一例です。日本語に引きずられず、意味を捉えるようにしましょう。
「前置詞は丸暗記できない」と最初に言ったのは、もともと空間的な概念であった前置詞が抽象的・心理的概念にまで派生しているからです。そのため丸暗記ではなく、その前置詞が本来持つ「空間的なイメージ」をまず押さえておく必要があるのです。
英語が伸び悩んでいるという人は、前置詞の学習に力を入れてみてはいかがでしょうか。単語や読解の学習だけではカバーできない微妙な英文のニュアンスを理解できるようになり、きっと英語力がアップするはずですよ。
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