演劇は、ストーリーを演じることで感情やメッセージを伝える芸術のひとつです。
日本でも劇団四季のミュージカルが有名ですよね。英語圏の諸国では、演劇が非常に盛んで、多くの人々が舞台でのパフォーマンスや演技を楽しんでいるとご存じでしたか?
筆者もシカゴで観たミュージカルに心を打たれ、その後、ミュージカルを観るためだけにNYやロンドンを訪れました。それほど、演劇には人の心を魅了するパワーがあるのです!
今回は、演劇に関連する基本的な英語用語から、よく使われるイディオムやスラングまで、幅広くご紹介します。
あまり演劇に興味がなかった方でも、独特の英語表現は学んでおいて損はありませんよ!
英語圏で盛んな演劇文化
英語圏の国々、特にアメリカとイギリスでは、演劇が文化の重要な一部となっています。
ブロードウェイやウェストエンドといった著名な劇場街では、毎年数多くのミュージカルやストレートプレイが上演されています。
英語圏で演劇が盛んな理由は、歴史的、文化的、社会的な要因が複合的に作用しているためです。イギリスのウィリアム・シェイクスピアは、演劇の発展に大きな影響を与えました。彼の作品は、英文学の金字塔であり、演劇の形式や内容にも影響したと考えられています。
このことから、演劇に関する独特な英語表現が多く産まれたと言えるでしょう。
演劇に関する基本用語集
演劇に関する基本的な英語用語を知っておくと、舞台や劇場での経験がより豊かになります。以下に代表的な用語を紹介します。
- Theatre (UK) / theater (US)|劇場:舞台やパフォーマンスが行われる場所。
- Stage|舞台:演技が行われる場所。
- Actor/Actress|俳優/女優:役を演じる人。
- Role|役:俳優が演じるキャラクター。
- Rehearsal|リハーサル:本番前の練習。
- Monologue|モノローグ:一人のキャラクターによる長い独白。
- Props|小道具:舞台で使用されるアイテム。
- Director|演出家:演技を指導する人。
- Set|セット:舞台の背景や装飾。
- Curtain call|カーテンコール:演技後の役者たちによる観客への挨拶。
演劇に関するイディオム10選
演劇の世界では、特有のイディオム(慣用句)がよく使われます。日常生活でも使えるものも多いので、早速見てみましょう!
All the world’s a stage
意味:人生は舞台のようなもので、私たちは皆役者である。
He believes that all the world's a stage and we're just playing our parts.「彼は、人生は舞台のようなもので、私たちはただ自分の役割を演じているだけだと信じています」
Break a leg
意味:成功を祈る。良い結果を期待する。
Break a leg tonight! I’m sure your performance will be amazing.「今夜は頑張って! あなたの演技は素晴らしいものになると確信しています」
この慣用句は有名なので、知っている人も多いかもしれませんね。他の記事でも紹介されています。
In the limelight
意味:注目を集める、スポットライトを浴びる。
かつて舞台で使用された石灰光 (limelight) から派生しています。
Her new role has put her in the limelight.「彼女の新しい役が彼女を注目の的にしました」
Upstage someone
意味:他の人の注目を奪う、目立ちすぎる。
誰かより目立つ、または他の人の注目を奪うことを意味します。舞台上で他の役者の後ろに立つ(上手に立つ)ことで、観客の視線が自分に向くことから来たのだとか。
He upstaged the lead actor with his powerful performance.「彼は力強い演技で主役の俳優を食ってしまった」
Behind the scenes
意味:舞台裏で、または公には見えないところで。
A lot of work goes on behind the scenes to ensure the show runs smoothly.「ショーがスムーズに進行するためには、多くの舞台裏の作業が行われています」
Steal the show
意味:予想以上のパフォーマンスで観客の注目を奪う。
Her solo performance stole the show.「彼女のソロパフォーマンスがその場の注目をさらった」
The show must go on
意味:困難があってもショーは続けなければならない。
困難やトラブルがあっても、「何があってもショーは続けなければならない」という意味で使われるフレーズです。何事も途中で諦めず、やり遂げるべきだという精神を表現しています。
Despite the technical difficulties, the show must go on.「技術的な問題があっても、ショーは続けなければなりません」
この表現はイギリスのロックバンドQueenの人気ソングで有名になりましたね。
Play to the gallery
意味:大衆向けにわざと派手に演じること。
He tends to play to the gallery, always trying to impress everyone in the crowd.「彼はギャラリーに媚びへつらう傾向があり、常に観衆のみんなを感心させようとしている」
ギャラリー(上層階の客席)の観客に向けて演じるというところから来ています。
A hard act to follow
意味:非常に優れたパフォーマンスの後に続くのが難しいこと。
Her performance was a hard act to follow.「彼女の演技の後に続くのは難しいものでした」
前の人が素晴らしかったため、次に同じような成功を収めるのが難しいという状況を表す表現です。
Take center stage
意味: 注目の的になる、主役となる。
The issue of climate change has taken center stage in global news. 「 気候変動問題は世界的なニュースの中心となっている」
これらのイディオムは、演劇の世界に根付いた表現ですが、日常会話でもよく使われます。知っておくと、会話の幅が広がるでしょう!
演劇界でよく使われるスラング9選
イディオム以外にも演劇の舞台裏や業界でよく使われるスラングを紹介します。こういった表現を知っておくと、演劇の世界がもっと身近に感じられるかもしれません。
Corpse
舞台上で笑いをこらえきれず、演技が崩れること。
She corpsed during the emotional scene.「彼女は感情的なシーンで笑ってしまいました」
Fluff
台詞や動作を間違えること。
I fluffed my line, but I quickly recovered.「台詞を噛んでしまいましたが、すぐに立て直しました」
Ham
過剰に演技をする役者。
He’s such a ham; his performance is always over the top.「彼は本当に大袈裟な役者で、演技がいつもオーバーです」
Green Room
役者が公演前に待機する部屋。
I’ll be in the green room before the show starts.「公演が始まる前はグリーンルームにいます」
Blocking
演技の位置取りや動きの計画。
Make sure you follow the blocking during the performance.「公演中は、演技の位置取りを守ってください」
Understudy
主役の代役を務める俳優。
She’s the understudy for the lead role.「彼女は主役の代役を務めています」
Cold Reading
台本を初めて見て演じること。
All of the actors are meeting in the morning to do a cold reading.「朝、俳優全員が台本の初読みをするために集まっている」
Scene Stealer
シーンのなかで、他のキャストよりも目立って注目を集めること。演技があまりにも素晴らしく、観客の視線を奪う役者。
Her comic timing was excellent, making her the scene stealer of the play.「彼女のコメディのタイミングは素晴らしく、舞台のなかでシーンを奪う存在となりました」
演劇の魅力を体感しよう
演劇の世界には、さまざまな専門用語やイディオム、スラングが存在します。
これらを知ることで、舞台の魅力をより深く理解し、演劇体験を一層楽しむことができるでしょう。
英語圏で演劇を観る際や、演技について話題にする場合には、ぜひ今回紹介した表現を活用してみてくださいね。
海外旅行の際には、英語で演劇鑑賞を楽しんでみるのも良いのではないでしょうか? もしかすると、新たな趣味が見つかるかもしれませんよ。