SHIORI
(更新)
イディオムとは、いくつかの英単語で成り立っているフレーズ、いわば熟語のこと。
もう少し掘り下げると、イディオムとはそれぞれの単語の元の意味が違うのに、それらを合わせると元の意味とはまったく違う意味の熟語になるものです。
そしてイディオムは、知っている量が多ければ多いほど、英語の表現の幅が広がります。
なぜなら、自ら使う機会がなくても、ネイティブなど外国の人と会話をしているなかで、たくさんのイディオムを耳にすることがあるからです。
そういうときに意味を知っていないと、もちろん話についていくことができません。会話の内容を少しでも多く理解するには、イディオムを知っておいた方が絶対にお得なのです。
さまざまな事柄に関するイディオムが英語にはありますが、今回はそのなかでも「舞台」に関するものに絞って、14個ご紹介します。
ここでご紹介するのは、日常生活でも使える舞台関連のイディオムばかりです。
ぜひ参考にしてみてくださいね!
直訳をしてしまえば、「足を折る」という意味で、ちょっと理解するのに時間がかかってしまいそうな表現です。
英語ではイディオムとして使われ、good luck と同じ「頑張れ」という意味になります。
「今夜初めての公演なんだ」
「がんばれ!」
そもそもどうして「足を折る」という意味を持つ break a leg が「頑張れ」という意味になるのでしょうか?
時代は古代ギリシャまで遡りますが、当時は賞賛を表すのに拍手ではなく、足を踏み鳴らしていたそうです。さらにはイギリスのエリザベス朝の時代では、足ではなく椅子の脚を地面に叩きつけていたという一説があるのだとか。
そのほかにも諸説ありますが、このような背景から、break a leg というイディオムができたと言われています。
この表現は、公演を始めることを表すように、イベントなどの行事や活動を「始める/開始する」という意味があります。
「さあ、始めよう!」
「私たちはこのイベントのために何年も準備をしてきました。そしてようやく(このイベントを)開催するときが来ました」
ちなみに、よく映画に関連して耳にする roadshow(ロードショー)も、このイディオムと関係があるそうですよ!
昔は「サーカスなどのショーが巡業の旅に出る(稽古を重ねたショーを人前で披露する)」ことを指していたようですが、現在では、「計画を実行に移す、活動を始める、いよいよ実際に稼働させる」といったニュアンスで使われています。
舞台は、開演したら自然災害などのよっぽどのことがない限り、何が起こっても最後まで続けることが原則です。
エンターテイナーにとって「何があってもやめない」ということは当たり前であり、彼らの覚悟でもあります。
これらの意味から、the show must go on は「問題やハプニングが起ころうと、「一度始めたら、何があっても続けなければならない/最後までやり遂げなければならない」ということを表します。
(誕生日パーティーで)
「やばい!誕生日ケーキ買うの忘れた」
「まあ、それでもパーティーは続けなきゃ」
余談ですが、イギリスの伝説的なバンド Queen の曲のなかにも「The Show Must Go On」という一曲があります。
これは、ボーカルであったフレディマーキュリーが病に冒されながらも、「絶対に負けてたまるもんか」という気持ちを込めて作った曲だそうです。
limelight はスポットライトを表します。
ここに出てくる lime は果物のライムではなく、鉱物の一種である「石炭(ここでいうライムにあたる)」のこと。
大昔の劇場用スポットライトは、この「石灰」を熱して発光させていました。
その発光した光をレンズで集光し、舞台を照らしていたと言われています。
では、スポットライトに焦点を戻していきましょう。
暗がりの舞台では、スポットライトに当たることで、観客の注目を集めることができますよね?
このことからもわかるように、to be in the limelight には、「注目を集める/注目を浴びる」というような意味があります。
「ジョンは注目を浴びるのが大好きだ」
「彼女はいつも注目を集めている」
Keep your feet on the ground は、「地に足がついている」という文字通りの表現で、浮かれたりせず、「現実的に物事を考える様子」や「舞い上がらずに落ち着いている様子」を表します。
「有名になった後も彼はいつも落ち着いている」
「今のところすべて上手くいっているけど、物事を現実的に考えることを忘れないで」
clown はピエロを指します。ピエロは、芸達者で愉快なイメージもありますが、英語表現として使われるイメージは、決して良いものではありません。
英語で使われる clown は、愚かなとこをして人々を笑わせる、おどけ者のピエロや、悪ふざけをして笑いを誘うピエロをイメージすることが多いです。
ピエロが愚かなことをして、人々からバカにされたように笑われる様子から、to make a clown of oneself は、「恥をかく」という意味として使うことができます。
ちなみに、what a clown は 「なんて愚か者/バカ/アホなんだ」という表現になり、ピエロは英語で「愚か者」を表すのに使われます。
「みんなの前で恥をかきたくない」
「あれをしたことで彼女は恥をかいた」
また、このイディオムは「〜自身」でなくても使うことができます。例えばダンスが下手な人に対して、以下のように表現することもあるのです。
「彼はなんて(下手)愚か者なんだ!」
tune には「旋律・節・曲」という意味があります。
直訳すると「違う曲/旋律を歌う」という意味になりますが、to sing a different tune は、今まで歌っていた曲とは別の曲を歌う様子から、 to change the opinion と同じ「意見を変える」と言う意味として使うことができます。
また、意見や態度などが「違う」ということも表します。
「彼はお金のことになると意見を変えます」
「私たちの意見はまったく違います」
オペラやミュージカル、バレエなどのステージを想像してみてください。
ひとりのパフォーマーが演技をしているなか、次に出てきたパフォーマーがさらにすごい演技をすると、会場はどうなるでしょうか?
舞台をかっさらったかのように、脚光は次に出てきたパフォーマーに移ることでしょう。
そんな状況を英語では、「ショーを奪う」という意味の steal the show と表現することができます。意味は、その状況からも想像できるように、「人気をさらう/話題を独占する」になり、舞台以外でもイディオムとして使うことができます。
「日本人フィギュアスケート選手が初日の大会で話題を独占しました」
「彼は素晴らしいパフォーマンスで人気をさらいました」
「ステップが外れている」と聞いて、なんとなくみんなとの歩調が合っていない/歩調が乱れている様子を思い浮かべることができると思います。
out of step は、それが転じて「調和(一致)しない」という意味で用いられます。
また、時間と一緒に使うことで、「時代遅れ」や「古臭い」という意味にもなります。
「お父さんは少し古臭いです」
「同僚と馬が合わない」
この表現の通り、両足が左足だったとしたら、上手く動けるはずがないですよね? ダンスはおろか、動くことさえ困難になるでしょう。
この表現は、まるで左脚2本で踊っているように「ぎこちない様子や、不器用なこと」を表します。
ダンスや足を使ったスポーツで、不器用さやぎこちなさを表すのに使われることが多い表現です。
「彼がプロサッカー選手だなんて信じられない!すごい(足さばきが)不器用!」
ちなみに、手の不器用さを表すのには、all thumbs (すべての指が親指)という表現が使われます。
「あなた、不器用ね」
groove はスラングで「高揚する/盛り上がる/躍動する/リズムにのる/愉快なこと/得意なこと」という意味で使われます。
このことからも想像がつくように、to get in the groove には「調子がでる/絶好調になる/リズムに慣れる/上手く適応する」などの意味があります。
「彼女、昨日の舞台ではあんまりだったけど、今日は絶好調みたいだったね」
「初めは凄い心地悪かったけど、今は調子がでてきた(慣れてきた)」
fright は「怖気/ギョッとする」というような意味があります。とにかく怖がる気持ちを表す英単語です。
stage fright は、「舞台負け」と訳すことができ、舞台の上であがってしまうことを表します。
いわば、「あがり症」を指す言葉です。
「ケイトがプレゼンしてるの見た?彼女あがってたっぽかったよ」
「人前で練習することで彼女はあがり症を克服した」
upstage は、舞台で「脚光を浴びないところ(舞台の奥/後方)」を指します。
「自分が目立ちたい!」というときには、舞台にいるだれかを端に押しよけて、前に出ることでしょう。
このことからも想像できるように、upstage someone は 「誰かの注目を奪う/人気をさらう/目立つ」という意味として使うことができます。
「小さな子犬はショーが始まった瞬間女優の人気をさらいました」
「彼はみんなの注目を奪うことでしか目立つことができない」
直訳すると「風景を噛む」という意味になりますが、風景をのみこんでしまうくらい大袈裟な演技をしていることを表現しており、その情景通り「大袈裟に演じる」という意味として使われます。
「彼女は大げさに演技してたね。きまり悪くてずっと見てられなかったよ」
「彼女は被害者ぶるためにいつも大げさにふるまう」
いかがでしたか?
どのイディオムも、例えて使われているものばかりなので、直訳した英語の表現を想像するだけでも意味をくみ取ることができます。
今回紹介した表現は、舞台に関係したものでしたが、もちろん舞台以外のシチュエーションでも使うことができます。
みなさんもどこかのタイミングでぜひ使ってみてください!