則岡麻里絵
(更新)
英語で「疲れた」と言えば、 ”tired” と覚えている方が多いのではないでしょうか。
疲れを表す日本語に「くたびれた」「へとへとになる」「疲れ果てる」といった多様な表現があるように、実は英語にも「疲れた」に相当する表現はたくさんあるのです。
疲れと一口に言っても、肉体的なもの、精神的なもの、軽いものから重いものまでさまざま。疲れの度合いや種類に合わせて異なる表現を使いこなせるようになれば、英語話者としてさらに一歩前進できるはずです。
この記事では「疲れた」を表すさまざまな英語をご紹介していますので、会話の中で使用して細かいニュアンスを表現されてみてはいかがでしょうか。
英語学習者に最も馴染みのある「疲れた」は、やはり ”tired” でしょう。汎用性が高く、広い意味での「疲れた」を表すことができます。
“tired” は、「疲れさせる」という意味を持つ他動詞 ”tire” の過去分詞形です。疲労している対象を主語とし、 "tired" で形容します。
The horse got tired after the race.
「レースの後、馬はへとへとになった」
同じ ”tire" から派生した “tiring” は「疲れさせる」「骨が折れる」という意味の形容詞です。疲れの原因となる対象を主語にします。
I quit the job because it’s tiring.
「疲れるので仕事を辞めた」
“tired” には「飽き飽きする」「うんざりする」「もうたくさん」という意味合いもあり、精神的な疲労を表しても使われます。この場合、 ”tired of~” のように、 ”of” の後に疲れの原因となる単語を持ってきます。
I got tired of my job.
「私の仕事には疲れた」
とても疲れたことを表す際には、 ”so tired” や “very tired” と言うこともできますが、 ”tired out” もぜひ覚えておきたい表現です。「完全に疲れきった」「疲れ果てた」といった意味で使われます。
“exhaust” という動詞には、「(資源や体力などを)使い尽くす」という意味があることから、 ”exhausted” は「体力や気力がもう残っていない」「体力や気力が底をつく」「消耗する」といった意味で使用されます。
I feel exhausted from attending all these events.
「これらのイベントに参加して疲れ果てた」
ボロボロになった服や靴などを表して「擦り切れた」という意味で使われる ”worn-out” という形容詞がありますが、 “worn out” は人に対しても、使えないほどボロボロになったという意味で疲労困ぱいを表して用いられます。
She was worn out from taking care of her kids.
「彼女は子供達の世話でボロボロだ」
心身の極度の疲労で燃え尽きることを「バーンアウト」と言うように、長時間にわたる労働や心労によって疲労が溜まった状態、体力や気力が底をつくまで燃焼した状態を "burnt out" (または "burned out" )と表現します。
“weary” は、肉体的な疲労と精神的な疲労の両方を表現する形容詞です。身も心も弱ってしまったことを表して使われます。
ここからは、よりカジュアルな場面で使われる「疲れた」の英語表現です。
“wipe out” には「拭い去る」といった意味があるので、気力や体力が根こそぎ奪われる様子を想像できるでしょう。何らかの外的要因によって引き起こされた場合の疲れを表すのにぴったりの表現です。
You look totally wiped out.
「ひどく憔悴しているようですね」
“I’m dead serious!” (マジで本気だよ!)のように、 “dead” を副詞的に用いて表現の程度を強めることがあります。 ”very” の代わりに ”dead” を使っていると考えてもよいでしょう。 ”dead tired” で強い疲れを表しています。
“drain” には「排出させる」「流れ出させる」といった意味があるように、エネルギーが流れ出てしまうイメージです。肉体的な疲れと精神的な疲れのどちらにも使えます。
アメリカ英語のスラング。 “beat” は、「打ち負かされる」「打ちのめされる」といった意味でも使用される単語なので、連想しやすいのではないでしょうか。
主にアメリカで使われる口語表現。疲れの程度としては、 ”exhausted” に近いとされています。 “bush”には「茂み」や「藪」といった意味があり、茂みの中で迷った状態が疲れることから、この表現が使われるようになったという説もあるようです。
多忙なスケジュールの中で英語学習をされている方は、会話の中で疲れたことを表現する機会も多いことでしょう。
ご紹介した表現の中には、 “I’m tired.” と同じ構造の文中で使用できるものも多く含まれていますので、比較的会話に簡単に取り入れていただけるのではないかと思います。
いろいろな表現を頭に入れておくと、細かいニュアンスまでより正確に伝えられるようになり、会話がさらに楽しくなるはずです。
レッスンや実践ですぐに使える表現ばかりを集めていますので、ぜひ参考になさってください。