Hiroe H
(更新)
「will は未来時制を表すのになぜ過去形があるの?」
「will の過去形は would だと知っているけど、使い方がイマイチよくわからない」
このように思ったことはありませんか?
今日は、will の用法をおさらいしながら、時制の一致で will が would になる場合、また will の過去形の would として使われる場合も見ていきたいと思います。
「時制の一致!? 聞き覚えはあるけど…」と思われた方もご安心ください。時制の一致について一からしっかり解説していきます!!
それではまず will の使い方のおさらいから始めましょう!
will には「単純未来」と「意志未来」の用法があります。
「単純未来」は、今よりも後に起こる事実や確信を表します。
「彼女はもうすぐ戻ってくるでしょう」
「意志未来」には「強い意志」「推量」「予定」「依頼」「拒絶」の5つの意味があります。
「来月のテストに合格するため最善を尽くします」
「彼女はオフィスにいるでしょう」
「今夜、帰宅は遅くならないつもりです」
※ won’t は will not の短縮形
「ちょっとお願いをしてもいい?」
「彼女は片付けるのを手伝ってくれない」
「will の使い方をもっと詳しくおさらいしたい!」という方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。
「will の過去形が would なのは知っているけど使い方がイマイチ…」と思っている方、この項目は必読です!
ここでは時制の一致について特に詳しく解説します。
まずは「時制の一致」という、なんだか難しそうな響きの文法用語を見ていきましょう。
主節の動詞と従節の動詞(※)の時制を合わせることを「時制の一致」と言います。
ここで「節」についてさっとおさらい!
「このページをタイプし終えたら帰宅します」
この文中の「I’ll go home」と「when I finish typing this page」は、それぞれの中に「主語と述語」を持っていますよね。これらを「節」と言います。
この例文で「when I finish typing this page」は副詞として働いていますが、その他にも名詞・形容詞の働きをしていて、従属している方を「従節」と言います。
またこれを従えている方を「主節」と言います(ここでは「I’ll go home」)。
時制の一致では主節と従節が同じ時間軸になるパターンがあります。
「私は彼女が独身だと知っています」
この例文では、「I know」が「主節」、「she is single」が「従節」です。主節の動詞 know が過去形 knew になると、従節は次のように変化します。
「私は彼女が独身だと知っていました」
主節の動詞が過去形になることで、従節の動詞も変化します。これを時制の一致と言います。knew と was はどちらも過去形で、時間軸は同じですね。
「彼女は彼が図々しい男だと思っている」
この例文では「She thinks」が「主節」、「he is bold」が「従節」です。この例文も主節の動詞 think が過去形 thought になると、従節の動詞も変化します。
「彼女は彼が図々しい男だと思った」
こちらも thought と was は過去形で、時間軸が同じですね。
このように「主節」と「従節」の動詞が同じ時制になる(同じ時間軸になる)パターンは、意外と覚えやすいかと思います。
また従節に関しては、時制の一致が起こる前の時制で訳しますので、ここも注意が必要です。
たとえば「I knew she was single.」では「私は彼女が独身だったと知っていた」と訳すのではなく、「私は彼女が独身だと知っていた」と訳すのが正しいです。
時制の一致では、主節の動詞が過去形になると、従節の時制も変化することは上で触れましたが、これは従節の元々の時制によって、どう変化するかが決まってきます。
「お父さんが会社にいるのを知っている」
「お父さんが会社にいるのを知っていた」
これは上述の同じ時間軸になるパターンですね。
従節「Dad is at work」は現在のことを言っています。なので主節 I know が過去形 I knew になると、従節の時制も現在形から過去形になります。
「彼女はずっと病気だと思う」
「彼女はずっと病気だと思った」
ではこちらはどうでしょう?
従節「she has been sick」は現在完了ですね。主節 I think が過去形 I thought に変化すると、元々現在完了だった従節は、時制の一致によって過去完了に変化します。
「彼女は彼が授業に遅れると思う」
「彼女は彼が授業に遅れると思った」
こちらの例文では、従節「he will be late for class」は未来のことを言っていますね。主節 She thinks が過去形 She thought に変化すると、従節は「過去の時点から見た未来」になります。
この「過去の時点から見た未来」に関しては後述の「would が will の過去形となる使い方」で説明します。
このように時制の一致では、主節の時制に合わせて従節の動詞も変化することを上で説明しましたが、これは動詞だけでなく、助動詞も同じです。
will の過去形が would とされる理由の1つは、このことを言っています。
「彼らはもうすぐ到着すると思います」
「彼らはもうすぐ到着すると思った」
従節が未来時制の場合、主節の動詞が過去形になると、助動詞を過去形にしなければいけません。
「彼女はお母さんがもうそろそろ来るかもと思います」
「彼女はお母さんがもうそろそろ来るかもと思った」
will 以外の助動詞で表されている場合も、主節の動詞が過去形になると、助動詞を過去形にします。
では次に will の過去形となる would の使い方を見てみましょう。
ある過去の時点で、未来のことを話すときに would を使います。
「彼はまだ若かったが、私は彼が億万長者になるとわかっていた」
彼が若かったときは、過去のことですね。そのときから見て、彼は億万長者になる、と未来のことを言っています。
「高校を卒業したらアメリカに移住しようと思ったのは14歳のときだった」
「私」が14歳だったのは過去のことですね。この過去の時点から見た未来(高校卒業後アメリカに移住すること)を言っているので、would を使っています。
will の使い方のおさらいで、will には「強い意志」を表すことを説明しましたが、「過去の強い意志」を表すときには would を使います。
「彼女はそれを買うことにかなりこだわった」
「壊れたドアはビクともしなかった」
否定文で使われる場合は「どうしても〜しようとしなかった」のように訳すことができます。
そのほかの would の使い方は下記の記事を参照してください!
例外として時制の一致が起こらない場合がいくつかあります。
「私たちは光が音より早く進むことを学んだ」
「妹は100x100=10,000だと知っていた」
「光が音より早く進む」ことも、「100x100=10,000」ということも不変の真理ですよね。
このように、不変的なことは過去でも現在でも変わらないので、現在形で表現され、主節が過去形であっても、時制の一致は起こりません。
「友人は私が毎朝8:15に仕事に行くのに家を出ることを知っていた」
「彼氏は私に、兄の職業は何かと聞いてきた」
毎朝家を8:15に出ることや(習慣)、兄が仕事で何をしているかも(職業)、現在の状態を表していますね。
このような場合も、主節が過去形であっても、時制の一致は起こりません。
「「第二次世界大戦が1939年に始まったのを知っていましたか?」
「モーツアルトは1782年に『Kiss my arse(お尻にキスをしろ)』という声楽曲を作曲したと聞いた」
第二次世界大戦が1939年に始まったのも、かの有名な作曲家モーツアルトが1782年に『Kiss my arse』というちょっと下品な曲を作曲したのも、歴史的な事実です。
このような場合、主節が過去形でも、従節はそのまま過去時制を使います。
「彼は、もし彼が金持ちなら人生はもっと楽しいだろうに、と言った」
「彼女はその動物を救える獣医だったら良かったのにと思った」
どちらも仮定法過去の例文です。仮定法はあくまでも仮定であって実際のことではないので、時制の一致が行われません。
主節が過去形であっても、仮定法の時制のままですので注意してください。
今回は will と would の使い方や、時制の一致について、盛りだくさんに解説してきました。
would は will の過去形だと覚えていたのに、他にもたくさんの用法があって驚いた、という方もいらっしゃったことでしょう。
覚えることがたくさんあるとちょっと不安になってしまいますが、ただ用法を暗記するのではなく、例文と一緒にそれぞれの使い方や用法の違いを覚えることがコツだと思います。
また何度も繰り返し使ってみることも重要ですので、実際の会話でもどんどん使用してみてくださいね!