さな
(更新)
みなさんは、新しい英単語を見るとき、「接頭辞」や「接尾辞」に注目していますか?
言葉の意味がわからないときは、接辞に目を向けて考えると、大体の場合はヒントになることが多いです。
この記事では、なかでも特にわかりやすい「倍数接頭辞」について解説していきます! 倍数接頭辞というのは、「数を表すための接頭辞」です。
たとえば、日本語であれば漢字の「一」や「二」が単語に入っているのと同じで、英語にもわかりやすいヒントが隠れているのです! ではさっそく詳しく見ていきましょう。
英単語の多くは、「接頭辞+語根+接尾辞」の構成でできあがっています。たとえば introduction(前書き・導入)という言葉を分析してみましょう。
intro- という接頭辞は「なかに〜」という意味です。次に来る duct はラテン語の ducere(導く)に由来していて、接尾辞の -ion は、単語が名詞であることを示しています。
このように単語を分析すると、実はヒントばかりだということに気づくはずですよ!
そして接頭辞のなかには、「倍数接頭辞」というものがあります。これは数字を表す接頭辞です。英語では number prefix、numeral prefix、または numerical prefix と呼びます。
英単語の接頭辞は主に「ラテン語」由来のものと「ギリシャ語」由来のものがあり、今回はこの2つのタイプの倍数接頭辞を詳しく見ていきます。
uni- はラテン語由来の「1」を表す接頭辞。mono- で始まる英単語も「1」に関連しますが、これはギリシャ語由来の接頭辞です。
たとえば unicorn(ユニコーン)という架空の生き物をご存じですか? これは、1本のツノを持つ白い馬のような生き物です。uni- は「1」を表していて、corn はラテン語の cornu(horn=ツノ)に由来しています。
他にも uni- で始まる単語はたくさんあります。
ギリシャ語由来の mono- も多くの単語で目にしたことがあるはずですよ。
次は、「2」を表す接頭辞についてご説明します。
bi- と du- はラテン語由来の接頭辞で、どちらも「2」を意味します。言葉の例を見ていきましょう。
2つの車輪があるのが自転車、2つの言語を喋れるのがバイリンガル、2つの目を通して見るのが双眼鏡、そして2つの性別に対して性的な魅力を感じる人のことを指すのがバイセクシュアルですね。
では、du- から始まる単語はどのようなものがあるのでしょうか。
デュエットやデュオは日本語でもそのまま使いますよね! そして、ギリシャ語由来の「2」を表す接頭辞は di- です。ここで該当する単語を見てみましょう。
上記にも出てきた monologue(モノローグ)という言葉がありましたが、独り言から会話になるには、もう1人の人が必要ですよね。2人揃って成り立つのが「dialogue(会話)」! Dilemma(ジレンマ)も、2つの選択肢から選ばないといけないときに使う単語です。
続いて、「3」を意味する tri- という接頭辞。ラテン語もギリシャ語どちらも tri- を使うので、2つ覚える必要はありません。
Unicycle, bicycle, tricycle と並ぶととてもわかりやすいですね! 最近はあまり見かけないですが、昔は quadricycle という乗り物も存在しました。小型車に似た四輪バイクのようなもので、もっとも有名なのはヘンリー・フォードが製作したものです。
一般的に「4」を意味する接頭辞は quad-/quadr- や quart- です。ギリシャ語由来の tetra- もありますが、あまり見かけることはないかと思います。
ここでひとつ面白い知識をご紹介します。Tetris(テトリス)というゲームをご存じですか? 実はこの名前は、tetra- という接頭辞に由来しているのです! 各ブロックが、隣接する4つの立方体の配列で構成されていることにちなんでいます。
続いて「5」の接頭辞は、ラテン語が quint- でギリシャ語が penta- です。まずは quint- の接頭辞を使う単語を見てみましょう。
「クインテット」はみなさん聞いたことがあるのではないでしょうか。アキラ、スコア、フラット、アリア、そしてシャープという5人組が音楽を演奏し、音楽の楽しさを伝えるために作られたNHKの教育番組でしたね。
quint- のつく単語がわかったところで、次は penta- で始まる単語を見てみましょう。
ちなみに、pentagon は五角形という意味ですが、アメリカ国防総省の本庁舎である「ペンタゴン」も五角形の形をしているためこのように呼ばれています。
日常的には低い数字の接頭辞の方がよく使われますが、続けて「6」の接頭辞についても見ていきましょう!
Sex- や sext- の接頭辞を使う単語は、ラテン語由来の「6」の接頭辞を使っています。一方で hex- や hexa- の接頭辞はギリシャ語に由来します。
そして hex- の接頭辞を使う単語は以下の通りです。
お気づきの方もいるかと思いますが、特にギリシャ語由来の接頭辞を使う単語は、数学に関係することが多いですね!
「7」の接頭辞はあまり使われることがないですが、一応少しだけ当てはまる単語を見てみましょう。「7」に関する接頭辞は hept- や sept- が使われます。
一つだけ、みなさんがよく知っている単語に「7」ではないのに sept- を使う単語があります。それは September(9月)です。実は、ローマ暦には10ヶ月しかなく、10ヶ月のなかの最後の6ヶ月は、序数によって名前が付けられていました。つまり、今の9月である September は7番目の月だったのです。
続いて「8」の接頭辞を含む単語を見ていきましょう。どれも oct -から始まることがわかるでしょう。
そして、上記でも説明したように、October(10月)も「8」を意味する octo- が入っていますね! September の次の月なので、ローマ暦では8番目の月を指しています。
「9」の接頭辞はあまり馴染みがないかもしれません。筆者も November(11月)くらいしか思いつきませんでした。該当する言葉はあまりありませんが、少しだけ見てみましょう!
どれもレアな単語で使うことはないと思いますが、知っておくといつか役に立つかもしれませんね。
December(12月)の dec- は「10」を意味する接頭辞! では、他にも「10」の接頭辞を使う言葉は何があるのでしょうか?
一般的に知られているのはこれくらいです。
ちなみに、ゼロが33個ある数字をなんて呼ぶかわかりますか? 答えは「decillion」です! このDaily News記事では、ロシアの裁判所が米国企業に「2.5 decillion dollars」以上の罰金を科したことについて書かれています。これは世界のGDPを上回る額です!
1から10まで見てきましたが、なんとなくパターンがわかってきたのはではないでしょうか?
11からは一般知識ではなくなるため紹介はしませんが、「100」や「1,000」に関する接頭辞と単語は見る機会もあるはずなので、ここで少しだけ紹介します。
まずは「100」を表す cent- です。
接頭辞ではないですが、percent(パーセント)も「100ごとに」という意味ですよ!
Million(ミリオン)は「100万」を指しますが、milli- がつく接頭辞は「1,000」という意味になります。少しややこしいですが、kilo- と同義語と考えれば問題ありません。
ここで注意しないといけないのが、millionaire(ミリオネア)という表現です。これは1,000ドル(約14万円)以上保有している人のことではなく、100万ドル(約1億4,000万円)以上保有している人のことを指します。ややこしいですね!
※2022年10月時点の計算です。
では続いて kilo- の接頭辞がつく単語を見てみましょう。ほとんどが測定単位です。
すべてがそれぞれの単位の「1,000」の倍数を表していますね。例えば、マラソンを走る人は聞いたことがあるかもしれませんが、何キロ走ったかを「K」を使って表すことがあります。フルマラソンなら42K。インスタグラムのフォロワー数などもKを使って表記されることが一般的です。
Mega(メガ)は「特大」や「大量」という意味で使うことが一般的ですが、one million(100万)を意味するときもあります。
最後にご紹介するのは giga です。One billion(10億)を意味する接頭辞です。
Gigawatt といえば、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に出てくるタイムマシンがタイムスリップをするのに1.21GWの電力を必要とすることで聞き覚えのある人もいるかもしれませんね。
今回は、倍数接頭辞について特集しました。
数学や科学の世界では日々使う単語が多いかと思いますが、普段みなさんが生活するなかでもよく見聞きするものがありましたね。
記事の冒頭でも説明しましたが、英語は接頭辞や接尾辞を覚えておくと、知らない言葉に出くわしたときにヒントになることが多いです。
この記事では、ラテン語由来の接頭辞と、ギリシャ語由来の接頭辞を両方見ましたが、英語はさまざまな言語から影響を受けてできあがった言語なので、そういった歴史やつながりを知ることもできます。
このように、他の言語とのつながりも勉強していくと、徐々に英語の面白さと奥深さにも気づくはずです!