Naoya Okada
(更新)
現在、日常で英語を話す人々は世界に15億人いると言われています。
「5人に1人は英語話者」という計算になりますから、英語が話せれば、世界中の多くの人とコミュニケーションができます。目の前の世界は激変するでしょう。
けれど、
「英語をどのように学習したらいいのかわからない」
「どのくらいの時間、学習したらいいのかわからない」
そんな悩みや疑問を抱える人はきっと多いことと思います。
この記事では、「ハロー」「サンキュー」「アイアム〜」などは分かるけれど、中学英語で学習したことは概ね覚えていない英語学習の初心者向けに、科学的に算出した必要な勉強時間をご紹介。
さらに後半では、「最低限英語で意思疎通ができるレベル」を目指す上での勉強法をまとめています。
同志社大学の稲垣教授の論文「How Long Does It Take for Japanese Speakers to Learn English?」*において、英語によるコミュニケーションを普通におこなえるレベルに相当するTOEICの指標800点に達するには、中学校と高校の授業時間数も含めて、2,250〜2,500時間程度が必要であり、さらにさまざまなデータ分析に基づき、日本人英語学習者には「約2,500時間」の英語学習が必要だという結論が出されています。
次にアメリカ国務省の機関「Foreign Service Institute」のデータをご紹介します。
とその前に、英語のネイティブスピーカーにとって最も習得するのが難しい言語は何かご存知ですか?
実は「日本語」がその1つなんです。
この日本語学習に関するデータが、アメリカの政府機関から発表されていおり、アメリカ人向けデータですので一概に比較はできませんが、非常に参考になる指標と言えるでしょう。
それによると、アメリカ人が外国語習得にかかる時間を調査したところ、彼らにとって最難関言語とされる日本語や中国語の習得(=普通に話せ普通に読める)には「2,200時間」のレッスンが必要だという結果が出ました*。
*ロシア語、フィンランド語は1,100時間、ドイツ語は900時間、フランス語は750時間、アメリカ人にとって最も易しい言語であるイタリア語、スペイン語、オランダ語は600時間。
なお、この調査では、自主学習の時間(88週間分)も課せられているため、実際には「2,200時間+α」となります。
最難関語の習得にかかる時間がこの数値であるならば、「世界で5人に1人は話せる」と言われる英語の習得に4,000、5,000時間かかるというのは考えづらく、先ほどの日本人向けデータ①の「2,500時間」の信憑性は高いと言えます。
以上から、次のような結論が導き出せます。
高卒を前提とした場合、中高ですでに800時間程度*の授業を受けていることが多いです。
よって、この指標で考えると、「2,500時間」からその分を差し引き、残り「1,700時間」程度学習すればいいことになります。
これは現在の英語レベルや、中高含め、これまでどの程度の英語学習時間を確保してきたかによって異なりますが、おおよその目安として大きな学習の指標となるでしょう。
*高校での時間数は高校によって異なります。
さらに、基礎力などの他要因に左右されますが、「普通に会話をこなせる」水準になるには、5年スパンなら、「1日50〜1時間程度」の捻出が必要だろうという結論も導き出せます。
まずは最低限、外国人と意思疎通をできるレベルとなると、もう少し低く見積もってもいいかもしれませんが、上記数値は1つの目安となるでしょう。
なお、1日にどのくらい、学習に時間を割くべきかは目標期間によって異なります。期間が短ければ、当然1日に頑張る量は増えるということです。
目標期間 | 1日の学習時間目安 |
---|---|
1年 | 4時間40分 |
2年 | 2時間20分 |
3年 | 1時間30分 |
4年 | 1時間10分 |
5年 | 55分 |
6年 | 47分 |
10年 | 30分 |
「1時間は無理!」と思われるかもしれませんが、朝15分、通勤で10分、昼3分、帰りの移動で10分、お風呂で2分、夜Netflix視聴で20分など分散させれば、難しくはありません。
1日の中には多くのスキマ時間がありますので、それらを有効活用することが継続の秘訣です。
さて、英語初心者に必要な勉強時間の次は、学習法についてみていきましょう。
「文法や単語力などの土台を作ってから話す練習を」と考えている方は多いのではないでしょうか。
しかし、「英語を話せるようになる」が目標ならば、学習の初期段階でいったん「オンラインレッスン」を受講してみるのがオススメ。
得意不得意が明確になり、学習効率が増します。
実際に会話をすることで、「リスニングは結構イケる」という強みが見つかったり、反対に「文法がボロボロ…」などの課題を発見できたり。
勇気がいりますし、恥ずかしい思いをするかもしれません。でも、一歩を踏み出してみてください。
【オススメの学習法】
オンラインレッスンであれば、自宅でマンツーマンで受講できますので、誰かに見られて恥ずかしい思いをすることもありません。サービスによっては、日本人講師も在籍していますので、うまく活用してみてくださいね。
言いたいことが口から出てこない→英語から距離をおいてしまう、というのは初中級者のあるあるです。
まずは英語自体に慣れることで、メンタルブロックを和らげましょう。
【オススメの方法】
特に1がオススメです。音に慣れることの効果は本当に絶大なものですよ。また、聞き流し、多聴にはネットラジオ・テレビのPodcastがオススメ。
接触機会を増やすことが学習の鉄則ですので、まずは英語に触れる機会を増やしてみてください。スキマ時間を有効活用しましょう。
初心者の英語学習者の場合、すぐに大量のレッスンを受講するのは心理的不可がかかります。
まずは英語に慣れることで下地を作っていきましょう。前述の「英語環境の構築」に加えて、音声トレーニングをするのがオススメです。
【オススメの方法】
【音声トレーニング教材のオススメ】
他にも、NHKラジオの「基礎英語」もオススメです。コスパGood!
音声トレーニングは科学的英語学習法と一致します。
英語習得においては、「単語」「発音」「音声」という土台3要素の上に、スピーキング力やリスニング力が成り立ちますので、声に出す練習は必須です。
英語は「会話」という点では、「中学3年間」で学習する単語である程度対応できると言われています。
したがって、中学英単語のマスター=話せる、です。
しかし、共通して覚えておきたいことは、「その語を知っている」と「話せる(使える)」はイコールではないということ。
例えば、fan(ファン、愛好者)を使って、「洋服が超好きなんだ」を表せますか?
「洋服が超好きなんだ」
「私は〇〇が大好きなんだ」は「I’m big fan of 〇〇」。fan は会話ではこのように使われます。
最初からこのまま覚えておけば、あとは〇〇を別のもの(moviesで も何でも)に置き換えればいいだけ。また、主語を She にすれば「彼女は〜」が表せます(このようなすりかえ練習を「パターンプラクティス」と言います)。
このように、常に会話を想定して覚えていきましょう。力がついてきたら、自分が実際に使いそうな文に作り変えて、その中で暗記していくと効果抜群です。
【オススメの方法】
他にも、中学生向けの英単語帳を利用してもいいでしょう。
ただし、可能な限り「その語を知っている≒会話で使える」を目標にしましょう。
単語や発音が分かっても、「of」の後ろには名詞、「If」の直後には主語+動詞が2セット、といったルールが分からなければ、言いたいことを文にすることができません。
世の中には文法不要論もありますが、科学的な見地からも、初期段階で文法を体系的に学んでおくことは確実に有利に働く、とされています。
【オススメの教材】
科学的には、インプットしたものをアウトプットすることで、はじめて深い定着が図れ、実際に使いこなせるようになることが証明されています。
アウトプットなしの学習は、野球にたとえるなら、素振りなどの個人練習ばかりやっているような状態です。試合でヒットやホームランを打つためには、実戦練習や練習試合が必須なことは明らかです。
英語のアウトプットは、主にスピーキングとライティングの2つがありますが、音読・シャドーイングもアウトプットの手段として有効。
個人的な意見ですが、英語を話せるようになるには「話す」ことは必須、むしろ、最重要視すべきことだと実感しています。
その意味で、英会話レッスンの受講は最強です。とはいえ、英語初心者にはハードルが高いのも事実。
ですからまずは、下記の1の習慣化を最初の目標にしましょう。慣れてきたら2をとりいれて話すための土台をつくりましょう。
【アウトプットの方法】
他にもノートや「Anki」などの暗記アプリに日本文と英文をストックしておいて、日本文を見て瞬時に英文を言う、いわゆる「瞬間英作文」の訓練もオススメです。
ほとんどの学習者の成果を阻むのは、「継続の難しさ」にあるといっても過言ではありません。
学習習慣はおおよそ1ヶ月で定着すると言われていますが、あるデータによると、挫折率は1週間で40%、2〜3週間も40%、4週間目が20%です。
かなりの割合の人たちが、日を追うごとに挫折していくのがわかりますね。
ここでは学習継続のための、ちょっとしたTipsをご紹介します。
いかがでしたでしょうか?
今回は科学的な視点を交えながら、英語習得に必要な勉強時間、学習法をご紹介しました。
最後に一つ。
英語学習初心者の皆さんにとって、最も大切なことは「楽しむ」ことです。
悔しいことも、つらいこともあるでしょう。
けれど乗り越えた先には、文化を超えた人々と想いを交わす新たな冒険、そしてもっともっと大きな世界が待っています!
あまり気負いせず、日々の英語との関わりを楽しみましょう!