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「英語が聞き取れない」問題を解決するための3つのリスニング処方箋

「英語が聞き取れない」問題を解決するための3つのリスニング処方箋

英語学習をする上でぶつかる「英語が聞き取れない」という悩み。

これは「日本人特有の悩み」を知らずに勉強しているのが原因であることが多いです。

では、どのようにリスニングを勉強するのがよいのでしょうか?

それは、この悩みに対して適切な対策を立てながら、同じ素材を徹底的に活用していくことです。

リスニング力強化のために、今回ご紹介する「ブロック把握力」「音声把握力」「トレーニング力」の3つを伸ばすことにフォーカスしましょう。

そうすれば、必ずリスニング力アップを実感できるはずです。

 

1.「ブロック把握力」を伸ばす

1つ目のポイントは「語順」です。

英文は1文につき平均2~4つの「情報のブロック」を作ります。そしてこの情報ブロックを前から整理して聞く力を伸ばすことが、リスニング力アップにつながります。

今回は「具体例を作るブロック」を中心に見ていきましょう。具体例のブロックでは「アタマから理解する」→「記憶に焼きつける」→「内容を整理する」という順で練習することで、無理なく実力アップすることが可能です。

 

①「具体表現」でアタマから理解

リスニングで内容を忘れるのは、「後ろから前に返り読み」をしてしまう習慣が原因。

ではまず、"such as" が聞こえた時の心構えをマスターしましょう。

ここで重要なのは「such as=具体例のブロックを作る」と理解すること。
 

×良くない例

◎良い例

英語アタマを作るために、「具体的にはどんな?」という展開を予想する習慣が大切。

頭の中での理解としては「和食が好きだ」というブロックを聞いて、「例えばどんな和食か?」と次のブロックを予想して聞く練習をすると効果的です。具体例の「寿司」と「天ぷら」が情報としてキャッチできれば、リスニング試験でも使える知識に変わります。

次に応用パターン、"including" が来たときの考え方です。

"including" は意識してみるだけで、即実践力に直結するパワー単語。"including" というと「~を含めて」と訳されてしまいますが、実はこの "including" も「具体例のブロック」を作るという意識で聞けると、実践で使える知識になります。

"including" が聞こえた瞬間に、「具体例が来る」という意識が持てれば、リスニングでも記憶に残りやすくなります。これを「リテンション力(内容を思い出す力)」と言い、リスニングでは、「具体表現のブロック」で「記憶に残す工夫」をするとさらに実力アップできます。
 

②「意味ブロック」の把握練習でリスニング力を鍛える

最後に少し長めの英文を用いて、リスニングの実力アップトレーニングをしましょう。

It is vital that you be prepared to make some lifestyle changes, including adjustments in diet, exercise, and even sleep habits.

こちらを、カタマリに気をつけながら理解するプロセスを追っていきます。

「全体の主張」→「主張の中身」→「具体例のブロック」を作っているのがお分かりいただけるでしょうか?

まず全体の主張である「主張ブロック」を述べています。
"It is vital that ~" と聞こえたら、「あることが重要だ」→「何が重要なのか?」と主張の中身を考えて聞きます。

すると、次に主張の中身が展開されます。
"you be prepared to make some lifestyle changes" 「皆さんが準備をする」→「何の準備をするのか?」→「生活習慣を変える」と続きを聞いていきます。

さらに今回注目した「具体例ブロック」が展開されています。

リスニングの時には、このカタマリの「ブロック」で「前から語順通り理解する力」を養っていくことが大切。これによってリスニングの壁を超えることができるでしょう。

 

2.「音声把握力」を伸ばす

2つ目は「強弱のリズム」「音のつながり」について。

英語の音声は「強弱」のリズムの流れが重要で、リスニング力アップにはこの強弱のリズムをきちんと理解しておくことが欠かせません。

強弱のリズムは日常でもよく耳にします。
例えば、日本語が流暢な英語圏の方は、「日本語」を話すときにも「ワーシは日語がーす」のように、強弱のリズムに沿って発音することが多いです。

英語のリスニングをするときは、この強弱のリズムの発想を英語の音声理解に応用できます。

シェイクスピアの『ハムレット』という芝居で "To be or not to be; that is the question."「生きるか、死ぬか、それが問題だ」という有名なセリフがありますが、このセリフには「弱強5歩格」という理想のリズムが使われています。

この強弱のリズムを基本に、英文の音声は読まれます。
リスニングの勉強をするときは、スクリプトにこの強弱のリズムを入れておくと、強弱のリズムを体得する仕込みができます。
 

「音のつながり」を意識。

次に音のつながりです。
誰もが憧れる映画のリスニングは上級者にとってもかなり厄介なもの。なぜなら「音のつながり」が頻繁に起こるからです。

のように音が連結します。
この「音のつながり(リエゾン)」をきちんと意識して学習できるかどうかで、リスニング力アップの成否が左右されます。

この強弱や音のつながりの理解力を伸ばすためのおススメは『究極の英語学習法 K/Hシステム 入門編』。強弱のリズムが波形で明確に示してあるため、リズムの習得にふさわしい教材です。

 

3.「トレーニング力」を伸ばす

3つ目は「トレーニング法」です。
一番効果が上がるのは「知的コンテンツ」を集中的にシャドーイングすること。

まとまった英文1本に絞ってみるほうが、効果が上がります。その方が文法事項や語彙、さらに内容まで深く染み込みやすいからです。

具体的な方法をご紹介します。
まず、目的に合わせた「知的コンテンツ」を選ぶことです。例えば、僕は人工知能や教育問題、文化論、シェイクスピアなどの「教養」に関心があり、これらの話題が出てくると、欠かさず音声収集します。

英語の「リスニング教材選び」は「服選び」に似ています。

自分の「着心地」がよく、最大限「映える」ようにしてくれる服装選びができる方はカッコいいですよね。リスニングでも服装と同じように「自分によく合う」トピックを中心に使うと効果が上がります。

英語雑誌の『English Journal』(アルク)は欧米の知識人を特集に使うことが多く、知的好奇心を満たされます。

また、『CNN English Express』では最新のトピックを中心に扱っており、人工知能の問題から著名な経営者の話題も豊富に揃っています。

Oxford大学出版の『Successful Presentations』はビジネス英語に特化しており、DVDと合わせて学べる良い教材です。

もっと気楽に楽しみたいという方は好きな洋書の「オーディオブック」を活用することで、自分の本当に好きな教材が無限に選べます。例えば、Spencer Johnsonの『Who Moved My Cheese?』は短めの素材であり、かつ人生訓に富んでいるのでおススメです。

以上、好みに合わせて教材を使いこなすのが続けられる学習法です。
 

オススメはシャドーイング

素材選びが完了したら、次はトレーニング方法。

英文が聞こえたらその後に自分も声に出す学習法である「シャドーイング」をオススメします。

この時に意識して欲しいのは、1で紹介した「カタマリのブロック」を意識してシャドーイングすること、2で述べた「音声の強弱」や「つながり」を意識して学習することです。

TOEICや英検など資格試験のリスニングも合わせて取り組んで欲しいのですが、「基礎体力作り」には「自分に合っている内容」を7割、そして「資格用の内容」を3割など、動機づけを上手く行うことが重要です。

 

まとめ

リスニング力アップの秘訣を3つの角度から浮き彫りにしました。

「ブロック把握力」「英語の音声把握力」さらに「自分に合ったコンテンツ選び」を土台にシャドーイングを続けることが成功の近道です。

英文の聞き方に関する具体的なルールは拙著『英語リスニング プラチナルール』(KADOKAWA共著)にまとめています。大学入試の教材ですが、資格試験の各種リスニングでも最初の基礎力をつけるのにおススメです。

ぜひ、今回ご紹介した方法を実践して、結果の出るリスニング学習を体感してください。