Mizuho
(更新)
英検やTOEFLなどの資格試験はもちろん、ビジネスメールなど「英語でライティングをしないといけない!」というときに、「苦手なんだよね...」と面倒な気持ちになってしまうことはありませんか?
英単語や文法など、基本的なところは押さえているのに文章にできない...。
そんなときは、プロの教えを参考にしてみるのも1つの手です。今回は英文学の文豪たちが教えるライティングのコツを、DMM英会話のオリジナル教材「デイリーニュース」の記事を用いながらご紹介します。
そもそも、なぜ英語のライティングを難しく感じてしまうのでしょうか? それには大きく2つの理由があるようです。
日本語で作文やレポートを書くときに、考えをまとめられなくて困ったことがある人は多いかもしれません。自分の言葉で人に思っていることをしっかり伝えるのって、意外に難しいこと。
頭の中で思ったことをそのまま書き出してしまうと、構成や言い回しが整理されておらず、伝わりづらい文章になってしまいます。
英語でアウトプットするには、最低限の文法と語彙の知識が必要です。もしこの基本知識が足りていない場合は、まず基礎固めをする必要があります。
これらの基礎ができているのに英文を作れない場合は、圧倒的なアウトプット不足に陥っている可能性があります。
数多くの文豪たちのなかでも、現代文学に大きな影響を与えていると言われているのがErnest Hemingway, George Orwell, Stephen Kingの3人です。彼らの作品を読んだことがない方も、名前を聞いたことはあるのではないでしょうか。
ここでは特に、1つ目のタイプである「文章を書くときのポイントをつかめていない」人に向けて、ライティングのコツをご紹介します。
3人の文豪たちは、どんなことを教えてくれるのでしょうか。
Ernest Miller Hemingway (1899~1961)
国:アメリカ合衆国
職業:小説家・詩人
代表作:「The Sun Also Rises(日はまた昇る)」(1926)
「The Old Man and the Sea(老人と海)」(1952)
受賞歴:ノーベル文学賞(1954)
アメリカ地方紙の記者としてキャリアを始め、第一次世界大戦で従軍。その後小説を書き始め、20世紀のアメリカ文学に大きな影響を与えたとされる。
ヘミングウェイが残したライティングのアドバイスは4つ。どれもアメリカの地方紙「Kansas City Star」で記者として働き始めたときに学んだポイントだそうです。
短い文を使う
短い段落を使う
力強い言葉を使う
ネガティブにならず、ポジティブでいる
例えば英語で文章を書くときに、センテンスや段落をわざわざ長くしようとしていませんか? シンプルにしすぎると、幼稚な表現になってしまう気がするんですよね。でも長い文章や段落にすると、その分その内容を理解することが難しくなってしまいます。
私も英文エッセイについて学んだとき、1文に使う単語は15から20個にするように教わりました。長すぎるとその文章の主旨が捉えにくくなってしまいますし、短すぎると文章の流れが悪くなる懸念があるそうです。
人に読んでもらうために書いたものなのに理解してもらえなかったら本末転倒ですので、できる限りシンプルにしましょう。
3つ目の「力強い言葉を使う」も最初の2つに通じるところがあります。それは、文章から余計な言葉を取り除き、その代わりにパワフルな言葉を使うことです。こうすることで、伝えたい情報をよりクリアに伝えることができるのです。
日本語で「〜と考えられます」と言った場合と「〜である」と言った場合とでは、後者の方が力強く感じませんか?
英語でライティングをするときには、例えば it can be considered (〜と考えられる)と回りくどい言い方をするより、I think などもう少し直接的な書き方をした方がいいそう。
そして、なるべく肯定的な表現を使うようにします。「〜ではない」という表現の代わりに「〜である」という言い回しを使うのです。そうすれば、ネガティブな表現に目が留まりやすくなるのを防ぐことができます。
ただ、いきなり「これらのポイントを押さえてライティングをしましょう」と言われても難しいですよね。そんなときにオススメなのが「Hemingway app」というウェブサイト。自分で書いた英文をこのウェブサイトに貼り付けると、ヘミングウェイのアドバイスに沿った文章に変えてくれます。試しに使ってみてください。
Improve Your Writing with Advice from Hemingway
ヘミングウェイからのアドバイスで文章力を上げる
レベル:6 中級
George Orwell (1903~1950)
国:イギリス
職業:作家・ジャーナリスト
代表作:「Homage to Catalonia(カタロニア讃歌)」(1938)
「Animal Farm(動物農場)」(1945)
現地や事実の取材をもとにした「ルポタージュ」というスタイルで執筆。作品のなかで登場する表現は、現在でも日常会話で使われる。
George Orwellは1946年に「Politics and the English Language(政治と英語)」というエッセイを発表しました。このエッセイで、Orwellは当時使われていた英語の書き言葉は「複雑で一般人に対して不誠実である」と指摘し、特にこれは政治の場で横行していると批判したのです。
彼の意見は受け入れられ、特に政治の場では、plain English(平易な英語)を使うべきだと考えられるようになりました。こちらのページで、アメリカ政府が推奨する plain English が説明されています。それだけ伝わりやすさが重視されているわけですね。
Orwellは英語で正確にライティングをするときのアドバイスとして、以下の質問を自分に問いかけることを勧めています。
何を伝えようとしているのか?
どんな言葉で表現するのか?
どのような表現やイディオムを使えば明確になるか?
この表現は効果を発揮するのに十分な新鮮さがあるか?
もっと短く表現できるだろうか?
回避できるのにわざわざ見苦しい表現を使っていないだろうか?
ライティングをするとき、頭に浮かんだだけのアイデアをポイントを絞らずに文章にしようとしていませんか? 「何を伝えたいのか」は一見簡単に答えられそうですが、芯となる部分を定めるのは意外と難しいもの。
そして、その「伝えたいこと」をどのように読み手に訴えるべきなのかも考慮しないといけません。日本語でも難しい言葉を並べられたら、理解できるはずのこともできなくなってしまいますよね。
できる限り書き手と読み手の間にズレが生じないように、わかりやすく書くことがライティングをするときのポイントです。
Improve Your Writing with Orwell's Six Questions
オーウェルの6つの質問で文章力を上達させよう
レベル:6 中級
Stephen Edwin King (1947~)
国:アメリカ
職業:小説家
代表作:「Carrie(キャリー)」(1974)
「The Shining(シャイニング)」(1977)
現代アメリカの代表的なホラー小説家。多くの作品が映像化されている。
Stephen Kingはホラー小説家として知られていますが、それ以外にもファンタジー作品など、63もの小説と200を超える短編を発表しています。
これらに加え、「On Writing: A Memoir of the Craft」という、King自身が小説家として経験したことをまとめた本も出版されています。ここではこの本に書かれている、Kingのライティングに関するアドバイスを見てみましょう。
たくさん読む
自分自身のストーリーを語る
毎日書く
副詞を多用しない
「どんな文章を書けばいいのだろう?」そう悩んでしまったときは、ほかの人のライティングをお手本にしてみましょう。同じメッセージでも、表現の方法によって聞こえ方や感じ方、ニュアンスが違ってきます。そのような表現の幅を広げるには、いろいろな表現に触れるのがいちばんなのです。
こうして学んだ表現方法を、自分だけのストーリーを伝えるときに使ってみましょう。練習を積み重ねれば、唯一無二のものができあがるはずですよ。
Writing Advice from Stephen King
スティーヴン・キングによる、書くことへのアドバイス
レベル:6 中級
世界を代表する文豪たちからのアドバイス、いかがでしたか?
こうして見てみると、短い文章や平易な英語を使うなど、「読者のことを考えながら書く」ことが大切だとわかりますね。
会話でも、中学英語の理解が重要だと聞いたことがある人が多いのではないでしょうか。会話もライティングも、コミュニケーション手段の1つ。「難しい英語で書かなければ!」と気負わずに、伝わる文章を書けるようになるといいですね。
英語ライティングの練習にはいろいろな方法があります。こちらの記事も参考にしてみてください。