K. Inoue
(更新)
英語の注目度と必要性の高まりに呼応して学習者の方々の勉強熱も高まっています。
そんな中で、いきなりTOEIC対策問題集を解いてみたり、はじめから「実践」をうたったライティングやスピーキング教材に手を出してみたりと、英語の基礎基本を置き去りにした学習をしてしまっていませんか?
中学英語は、英語学習の根幹をなす最も重要な基礎基本を教えてくれるものです。中学英語を理解することなく、より高度な英語を理解したり技能として身に付けたりすることは不可能と言ってもいいでしょう。
それだけ重要な中学英語を基礎基本から徹底解説する連載【大人のやりなおし中学英文法】。前回ご紹介した「be動詞の使い方」に続き、今回は「一般動詞の使い方」についてご説明します。
英語は<主語+動詞>を中心にして成り立つ言語ですが、動詞には大きく分けて2種類あります。一つは前回ご紹介した「be動詞」、そしてもう一つが今回ご紹介する「一般動詞」です。
一般動詞とは、be動詞以外の「さまざまな動作や状態」を表す動詞のことです。「be動詞以外の動詞を一般動詞と呼ぶ」、と覚えておくとよいと思います。
では具体的な一般動詞をいくつか挙げてみましょう。
“walk” 「歩く」、“run” 「走る」、“eat” 「食べる」、“study” 「勉強する」、“like” 「好きである」、“have” 「持っている」、“know” 「知っている」、“live” 「住んでいる」…
などなど、be動詞以外の動作や状態を表すものが一般動詞ですから、挙げればキリがないほどたくさん存在します。
もちろんはじめから大量の一般動詞を覚えようとはせず、身近なことがらや覚えやすそうなものについて、例文を通じて少しずつ学習されるとよいと思います。
では、一般動詞を用いた例文を見てみましょう。
<主語+動詞>が基本ですから、「be動詞」同様、一般動詞も主語の後ろに置きます。
「私は」+「歩く」という語順を最初のうちはとにかく意識して大切にしてください。
この文の場合、一応これでも完成しているのですが、内容に具体性が無く、とても薄っぺらいですね。
そこで、次のように「どこ」とか「いつ」といった具体的な情報と組み合わせてあげるととても自然な文になります。
※ “in the park” = 「公園で」、 “every day” = 「毎日」
<主語+動詞>をベースにしつつ、その他の情報を付け足していくイメージです。
※ “for breakfast” = 「朝食(のため)に」、 “every morning” = 「毎朝」
「私たちは」「食べる」をベースに、「何を」「何(のため)に」「いつ」といった情報を加えています。
※ “with my friends” = 「友人たちと一緒に」、 “at school” = 「学校で」
この文では「私は」「勉強する」の語順をベースに、「何を」「誰と」「どこで」という情報を加えています。
「何を」は動詞との意味の結びつきがとても強いので一般動詞のすぐ後ろに置きますが、それ以外の「いつ」「どこで」「誰と」「何(のため)に」「どのように」などのさらなる追加的な情報は、どの順番で並べていけばいいのか悩まれることがあるかと思います。
多少順番が入れ替わっても意味が通じる場合ももちろんありますが、上記のような例文を何度も音読することで、より自然な情報の流れを身に付けることを目指してみてください。
なお、上記にご紹介した一般動詞は全て「現在形」と呼ばれるものです。
「現在形」とは、過去でも未来でもない、「現在の日常的な習慣や行い」を表すものです。「公園で散歩をする」「お米を食べる」「英語を勉強する」これらの動作は現在の日常的な習慣ですね。
一般動詞を学習する際に、苦手意識を持ってしまうかもしれない注意ポイントがあります。それが「三単現のs」。
三単現のsとは、「主語が三人称単数の場合、現在形の一般動詞にsを付ける」というものです。
「人称」というのは、以下のように「話し手(書き手)」、「聞き手(読み手)」、「それ以外の第三者」を区別するものです。
「単数」とは「一人」または「一つ」のことです。
つまり分かり易く言えば「三単現」とは、「主語が “I” 、 “you” 以外の単数で、時制が現在形」ということになります。
例文で確認してみましょう。
主語 “Erika” は “I” 、 “you” 以外の単数ですね。そして「住んでいる」のは現在のことですから、この場合の一般動詞に "s" が付き、 “lives” になる、ということです。
これら “speaks(話す)”、 “likes(好きである)” も同様ですね。
なお一般動詞によっては、以下のように "s" の代わりに "es" や "ies" を付ける場合があります。
これらはルールとして覚えようとするとややこしく感じてしまいます。
何度も見たり書いたり、発音したりする中で自然と身に付けていくことができますから、あまり理屈に縛られ過ぎて難しく考えないようにしてください。
三単現のsの解説の最後に注意点を述べておきます。
主語に三人称単数の人やモノが含まれていても、以下のように主語全体が複数となる場合には三単現のsは付きません。
主語は「トム」と「コウジ」の合わせて二人(複数)ですから、これを単数とはみなさず、したがって "s" は付きません。
次に「(主語は)~しない」を表す否定文の作り方についてご説明します。
このように、一般動詞の前に “do not” を置き、後ろに原形を続けることで「~しない」という意味にすることができます。
三単現の場合には “does not” を使って否定します。また、この場合の一般動詞の形も原形となります。
“do not” と “does not” はそれぞれ “don’t”、 “doesn’t” のように省略形にすることができます。
会話などでは省略形が用いられることが多いですが、一般に、省略形にしない方が「しない」という意味が強調されると言われています。
今度は「(主語は)~しますか?」と尋ねる疑問文の作り方についてご説明します。
このように、文頭に "Do" を置き、主語+一般動詞の原形の形を続けます。
三単現の場合には “Does” を文頭に置きます。また、この場合の一般動詞の形も原形となり、三単現の "s" は付きません。
疑問文では、末尾にクエスチョンマーク “?” を置きます。
返答の仕方は以下のように “do” や “does” を用います。
ちなみに、このように “Yes” または “No” で答える疑問文を発話する際には、語尾を上げ調子で発音するのが普通です。
最後に「~しなさい」という命令文の作り方をご説明します。
このように、一般動詞の原形を文頭に置くことで命令文にすることができます。
命令文では、命令する相手は “you”「あなた(たち)」という前提がありますから、わざわざ “you” という主語を用いないのが普通です。
「お前が」のように強い言い方をする場合や、複数の人物の中から一人を指名し、その人物に命令していることを明確にする場合などにあえて “you” を用いることがあります。
このように感嘆符(!)を付けて勢いよく言うことで強制的なニュアンスを出すこともできます。
「~するな」という否定的な意味での命令文は、次のように “Don’t” を用います。
前回be動詞の命令文をご紹介しましたが、be動詞の否定の命令文でも “Don’t” を用いることを補足しておきます。
「命令」と聞くとなんだかキツそうな感じがしますが、実際の命令文がキツいかどうかは、その内容や言い方、文脈、状況などによって左右されるものです。命令文だからと言って必ずしも強引でキツいニュアンスになるわけではありません。
丁寧さを分かりやすく示したい場合には、次のように “please” を添えるのが簡単な方法です。
ただ実は、 “please” にも注意が必要なことがあります。
“please” は確かに丁寧さの表れではあるのですが、あくまで命令文であることに変わりはなく、また「自分の利益のために」というニュアンスが入りがちです。そのため相手に対する押し付けがましさや利己的な印象を与え、逆に失礼になってしまうこともあり得ます。
そこで、
“Could you~?”「~していただけますか」のような依頼表現を用いた方が好まれることがあります。これについてはまたいずれ詳しくご紹介したいと思います。
いかがだったでしょうか。
何度も言いますが、英語は<主語+動詞>を中心に成り立つ言語です。
ですからbe動詞も一般動詞も、その使い方の基礎を初期の段階でしっかりとマスターできるかどうかは、今後の英語学習の成否に関わってくることであるとすら言えます。
慣れないうちは例文を何度も音読し、三単現のsも、否定や疑問文での “do” や “does” も、リズムよく自然に口をついて出てくるようになるくらいまで繰り返し練習を積んでください。