K. Inoue
(更新)
英語の注目度と必要性の高まりに呼応して学習者の方々の勉強熱も高まっています。
そんな中で、いきなりTOEIC対策問題集を解いてみたり、はじめから「実践」をうたったライティングやスピーキング教材に手を出してみたりと、英語の基礎基本を置き去りにした学習をしてしまっていませんか?
中学英語は、英語学習の根幹をなす最も重要な基礎基本を教えてくれるものです。中学英語を理解することなく、より高度な英語を理解したり技能として身に付けたりすることは不可能と言ってもいいでしょう。
それだけ重要な中学英語を基礎基本から徹底解説する連載【大人のやりなおし中学英文法】。今回は「一般動詞の使い方」についてご説明します。
以前ご紹介した「be動詞の使い方」、「一般動詞の使い方」。
その中で、
など、それぞれの動詞を用いた疑問文の作り方も解説しました。
ただし、これらの疑問文は、いずれも “Yes” か “No” の答えしか求めることのできない疑問文です。
では “Yes” や “No” 以外の答え、たとえば「誰ですか?」とか「どこですか?」などのように、より幅広い情報を尋ねるためにはどのようにすればよいのでしょうか?
今回は、“Yes/No” 以外のいろいろな情報を聞き出すための疑問文の作り方についてご説明していきます。
「誰ですか?」や「どこですか?」のように、 “Yes/No” 以外の情報を尋ねるはたらきを持つ言葉を「疑問詞」と呼びます。
疑問詞は代表的には以下の6つがあります。
それぞれの頭文字となっている5つのWと1つのHから、「5W1H」と呼ばれています。
これら以外には "which"「どれ・どちら」や "whose"「誰の」があります。
さらには上記 "how" を応用した "how many"「いくつ」といったフレーズなども疑問詞とみなすことがあります。
ではさっそく疑問詞を使った疑問文の作り方を見てみましょう。まずはbe動詞を用いた文章のパターンからです。
以下の①②③の文章を見比べてみてください。
①と②は以前に確認した通りですね。③が今回の「疑問詞を使った疑問文」です。
文頭に疑問詞 “Who”「誰」が置かれ、その後ろがbe動詞と主語が入れ替わった疑問文の語順になっています。
つまりbe動詞の文の疑問詞を使った疑問文は、
の形になるということです。
もう一つのポイントは、①と②では “Jack” という人物名が登場していますが、③では登場していないことです。
これはその人物が不明であり、疑問の対象となっているためです(代わりに "who" が使われています)。
イメージとしては、次のような段階を経ていると考えると分かり易いと思います。
ちなみに、疑問詞を使った疑問文は、末尾を下げ調子で言うのが普通です。
答えるときには、
という具合に普通にbe動詞を用いた文で答えてあげればOKです。返答の中では代名詞(“He” や “That” など)を使うこともポイントでしたね。
実際の会話では、場合によっては “Jack.”「ジャックだよ」のように単語だけで返答するというケースもあるでしょう。ただ、初級者の方は練習のためにまずはきちんとした文章で答えることを心がけるようにしてください。
では以下の文章の下線部を、疑問詞を使って尋ねてみましょう。
「キッチンに」という「場所」を尋ねたいので、「どこ」を尋ねる "where" を使って、
ですね。
と代名詞を使って答えると自然です。
なお、「誰が」キッチンにいるかと尋ねたい場合は、
となります。
このように主語(ここでは “Sara”)がそのまま疑問詞となって文の主語に置かれる場合には、語順の入れ替えが起こらない(入れ替えようがない)ことに注意してください。
答え方としては、
と答えるのが正式ですが、
のような答え方も自然です。
もう一つ練習しておきましょう。
体調は「どのような」様子かを尋ねたいわけですから、これを表す "how" を使って、
です。
挨拶表現として覚えるこんなフレーズも、きちんと疑問詞を使った疑問文の理屈通りに成り立っていることが分かりますね。
次に一般動詞を用いた文章のパターンです。
先ほどと同様に以下の3つを見比べてみましょう。
①と②はやはり以前に確認した通りです。
③が疑問詞を使った疑問文で、「場所」を尋ねるための疑問詞 "where" が文頭にまず置かれ、その後ろにYes/No疑問文と同じ語順で単語が並んでいます。
つまり一般動詞の文の疑問詞を使った疑問文は、
の形になるということです。
be動詞のパターンと同様に、次のようなイメージで考えると分かり易いでしょう。
答えるときには、
のように、やはり代名詞を用いて通常の肯定文の形で答えてあげると良いです。
では上の例で、「誰が」ニュージーランドに住んでいるかと尋ねるにはどのようにすればよいのでしょうか?
「誰」ですから使うべき疑問詞は "who" ですね。そしてこのときの "who" は文の主語にあたります。
その場合、次のように疑問文の語順は取らず、主語に置かれる疑問詞は三人称単数扱いとなり、現在形の場合は述語動詞に三単現のsが付きます。
少し練習してみましょう。
以下の文章の下線部を、疑問詞を使って尋ねてみましょう。
「何を」飲むか尋ねたいので、「何」を尋ねる "what" を使って、
ですね。
「いつ」飲むかと尋ねたければ、 "when" を使って、
そして「誰が」毎朝牛乳を飲むかと尋ねたければ、先ほどの注意点に従って、
となります。
この "who" の疑問文の返答としては、
のように “drinks” を受ける “does” を使って答えると自然です。
疑問詞を用いた疑問文では、意味が幅広過ぎて何を問われているのか曖昧になることがあります。
このように尋ねられたところで、答える側としては一体何を答えればいいのか悩んでしまいますよね。
そこで、尋ねる内容にもう少し具体性を持たせてあげるために、次のような工夫をすることができます。
このように疑問詞の後に “sport”「スポーツ」、 “language”「言語」、 “car”「車」などの名詞を加えることで、尋ねる中身をグッと絞ることができます。
“What kind of~” のような種類を尋ねるフレーズも覚えておくととても便利です。
ところで最初に紹介した "whose" も後ろに名詞を加えることのできる疑問詞で、「誰の?」と具体的な所有者を尋ねる場合に使います。
“Whose is this?”「これは誰のものですか?」のように "whose" 単独で使うこともできます。
次のように、「いくつ」や「どれくらいの頻度で」など具体的な数や回数、頻度などを尋ねる表現もあります。
疑問詞の様々なバリエーションを駆使することで、より具体的な質問のやり取りができるということですね。
いかがだったでしょうか。
今回は疑問詞を使った疑問文をご紹介しました。相手に何かを尋ねるということは、自分が欲しい情報を得るために欠かせないことです。
もちろん、尋ねてばかりで相手を不快にさせてしまってはいけませんが、適切に尋ねる行為は、単に欲しい情報を手に入れるだけでなく、勘違いや誤解を回避することにも繋がります。
さらにこの行為は、相手のことを知り、より仲を深めたりコミュニケーションを円滑にしたりするためにも欠かせない重要な言語活動でもあります。
今回ご紹介した疑問詞をぜひ活用して、英語によるコミュニケーションの幅を広げてみてください。