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SPARK JOY(ときめき)が各国で社会現象に! 世界中に広がる「こんまりメソッド」とは

SPARK JOY(ときめき)が各国で社会現象に! 世界中に広がる「こんまりメソッド」とは

「こんまりメソッド」という言葉を聞いたことがある方は多いかと思います。

『人生がときめく片づけの魔法』の著者、近藤麻理恵さんが提唱する片付けメソッドのことです。実はこの「こんまりメソッド」がいま、世界中で話題沸騰中。

英語では "KonMari method" として知られ、 "KonMari" 自体が「こんまりメソッドで片付ける」という意味の動詞として使われるほどにまでなっているのです。

今回はそんな「こんまりメソッド」が世界中で人気の理由と海外の反応をまとめてみました。
 

片づけコンサルタント 「こんまり」こと近藤麻理恵さん

 

 
 
 
 
 
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Marie Kondoさん(@mariekondo)がシェアした投稿 - 2019年 1月月5日午後1時40分PST

近藤麻理恵さんは、現在ロサンゼルス在住の片づけコンサルタント。

「こんまり」の通称でも知られ、自身が提唱する「こんまりメソッド(KonMari Method)」が世界中で人気を博し、2015年には米タイム(TIME)誌の「世界で最も影響力のある100人(100 Most Influential People)」の一人に選ばれました。
 

「こんまりメソッド」とは

近藤麻理恵さんが提唱する「こんまりメソッド」の基本は、片付ける物を手に取り、「ときめき」を感じるものだけを残す、というシンプルな方法。ときめきを感じないものは感謝の気持ちを込めながら捨てます。

また、自分が理想とする生活をイメージしながら片付けを行うこと、場所ではなくカテゴリー別に進めていくこともポイント。

取り掛かるのは<服→本→書類→小物→思い出品>の順番が良いそうです。
 

『人生がときめく片づけの魔法』が世界各国でベストセラーに

そんな「こんまりメソッド」を提唱した自身初の著書『人生がときめく片づけの魔法』(2010年)は世界30ヵ国以上で出版され、850万部以上を売り上げています

英語だけでなく韓国語、中国語、スペイン語、インドネシア語、フランス語、ドイツ語、スウェーデン語、そしてポルトガル語などにも翻訳され、日本だけでなくヨーロッパでもベストセラーになりました。
 

NETFLIXシリーズ公開で人気爆発

 

 
 
 
 
 
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Marie Kondoさん(@mariekondo)がシェアした投稿 - 2019年 1月月1日午前6時30分PST

2019年1月にストリーミングサービスのネットフリックス(NETFLIX)で「KonMari 〜人生がときめく片付けの魔法〜」(原題:Tidying Up with Marie Kondo)が公開開始。

近藤麻理恵さんがアメリカの一般家庭を訪れ、片づけ方法を伝授する内容で、アメリカを中心に爆発的な人気を得ました。

このシリーズをきっかけに各国で片づけブームが起こり、「こんまり」は社会現象となっていったのです。

下記は同シリーズの公式トレーラーです。

一般化されつつある「こんまり」用語

世界的な成功を受け、「こんまり」を始めとする様々な用語が一般的な英語として受け入れられ始めています。

例えば、こんまりメソッドの核である「ときめき」は "spark joy" と表現されています。今では "spark joy" といえばこんまりメソッド、というほどに認識されています。

また、"KonMari" という名前自体が動詞として使われることもあります。"(to) Google" が「ググる(検索する)という意味になるのと同様に、"(to) KonMari" は「(こんまりメソッドで)片付ける」という意味で広く使われるようになりました。同じ意味で「〜ing形」の "Kondoing" といった表現もあります。

近藤さんは「小物」という言葉を英語でそのまま "komono" と表現することがあります。英語では "miscellaneous items" と訳すこともできるのですが、こんまりメソッドのおかげで "komono" と日本語のまま表現されることが増えました。
 

実践報告からジェンダー論までネットユーザーの反応まとめ

ここでは、書籍やNETFLIXの新番組に対する海外ネットユーザーの反応を見ていきましょう。
 

さっそくこんまりメソッドを実践する人多数

本やNETFLIXの番組に感化され、早速こんまりメソッドを実践する人が多く現れました。

ライター・ジャーナリストのNicoleさんは "KonMari" した部屋の一部を公開。

この部屋の一角を「こんまり」した。結果がこれ。

女優のArdenさんもたくさんの物の処分に成功したようです。

クローゼットを「こんまり」し始めた…もうすでに10箱分を寄付できる。でも、友達もいらなければいくつかは売ろうかなって思ってる。状態の良い古着や中古品を売る良いサイト教えて?

なかなか片付けが進まない人も…

先のツイートでは順調に片付けが進んでいるように見えたNicoleさんですが、苦戦する部屋もあるみたいです。

ここの「こんまり」は他の部屋で腕を磨いてからにしよう。

コラムニストのAishaさんもなかなか片付けが進まない様子…

近藤麻理恵さんの話題に感化され、書類が入った2箱と袋を整理することに。まず、全部をダイニング・ルームに移動させた。そこから1週間動かなかった。次に全部地下室に移動させた。そこから1週間動かなかった。いまは全部もとの部屋に戻した。3回失敗して「こんまり」をマスターした。

家以外も「こんまり」?

多くの人が「家以外のものをこんまりする(整理する)」必要性を感じているようです。

仕事や人間関係においても "SPARK JOY(ときめきを感じる)" ものだけを残すことは家の片付けだけでなく、人生をも豊かにする秘訣なのかもしれません。

エッセイストのShakiraさんは下記のように述べています。

私たちに本当に必要なのは、周りの人間関係を「こんまり」すること。あなたにときめきを与えてくれる人だけを残す。あなたに不快な思いをさせたり、必要がない人とは関係を切ろう。捨てられない関係は、透明でカテゴリごとに分けた容器に入れて扱いやすくしよう。

下記はベストセラー作家のLuvvieさんのツイート。

これからデジタルライフを「こんまり」する。『フォローしてるこの人にときめくかな?』って。

本当、(近藤さんに)心を奪われてる。

コンサルティング会社のCEOであるNicoleさんも賛成のようです。

企業文化を「こんまり」しよう。

ここの "but" は、"not A but B(AではなくB)" のニュアンスで使われているのですが、「家ではなく」の部分が省略されています。

"KonMari, (not for your home,) but for your company's culture" →「家ではなく企業文化でこんまり」→「企業文化をこんまりしよう」ということです。
 

本の扱いに対する論争

ときめかない物を処分する、という近藤さんの片付け方法ですが、本の処分に関して様々な論争が勃発。

「本を捨てろだなんて!」「本はそんな簡単に捨てられるようなものじゃない」などといった批判的な意見から、「近藤さんは本を捨てろとは言っていない」などの擁護的な意見もありました。

作家のG. Willowさんは次のようにツイートしました。

こんまりと言えば。私は作家ですが、本の処分に対する炎上ツイートを無視し、みなさんが本を「こんまり」することを許可します。「こんまり」したら、刑務所の図書室に寄付することを検討してみてください。

図書館員のAlexandraさんも本の「こんまり」に賛成しています。

私は図書館員です。ショックかもしれませんが、私は本棚を「こんまり」することを100%支持します。なぜかって?
まず、人々は彼女のフィロソフィーを取り違えています。好きな物を捨てろと言っているのではありません。そうでないものを受け渡す機会をくれているのです。

コミュニティセンターの92nd Street Yは、近藤さんの動画とともに次のようにコメント。

近藤さんは本を捨てて欲しいわけではないのです!「こんまりメソッドで大事なのは、自分はどういう価値観を持っているのかを知ること」と説明してくれました。「自分にとって何が一番大事なのか?…ときめく物であれば絶対に捨てないでください」

ジェンダー関連の議論まで

アメリカでジェンダー論や性差別は常に論争が絶えない話題です。家の片付けを手伝うという内容の番組のため、一般家庭の実際の暮らしが映し出され、根強く残るセクシズムが生々しく映し出されていると指摘する声も多くあります。

近藤麻理恵さんのシリーズの第1話を見た。パートタイムで働きながら、一人で子供二人の子育てをしている妻に対して、男が「もっと洗濯をしろ」と怒るやつ。こんまりメソッドがダメなのは明らか。だって最後までそいついるもん。

上記のツイートはニューヨークを拠点とするライターSadyさんの意見。こんまりメソッドは「いらないもの」を処分する片付け方法なのに、育児を手伝わずに文句を言う夫は番組の最後になってもまだいる=そんな夫はいらない、と皮肉交じりにセクシズムを指摘しているのです。

次の女優Ashleyさんのツイートがわかりやすい解説かもしれません。

数年前に近藤麻理恵さんの本を読んで大好きになり、今も家で「こんまり」を導入しているけれど、子供の頃に親が離婚した身としてはNETFLIXの第1話は見ていられなかった。あの女性は夫に手を当て、自分がときめかないことに気づき、捨てる必要がある。

作家Emeryさんも同じく、家事の分担に対する意見を述べています。

こんまりメソッドは好きだけど、家事は全て妻の仕事ではないと認めるまで、男の私物は全部捨てることにする。

ここの "but" も少しトリッキーですが、主語 "I" や "I am" が省略されていると考えるとわかりやすいかもしれません。

省略部分を戻すと "(I) like the KonMari method, but (I am) throwing a man's every possession away until he confesses he knows household labor shouldn't default to his wife" →「(私は)こんまりメソッドは好きだけど、(私は)男の私物を全部捨てる、彼が家事は全て妻の仕事ではないと認めるまで」、となります。
 

まとめ

世界中の人々をインスパイアし、「片付け」で人生を変える手伝いをしている近藤麻理恵さん。

「こんまりメソッドで大切なのは、自分は一体どういう価値観を持っているんだろう、というのを片付けを通して知ること」

彼女の考え方は整理整頓のコツだけでなく、様々な話題や議論を巻き起こし、まさに片付けを通して人それぞれに自分だけの価値観があることを再認識させてくれます。

海外でも大人気のこんまりメソッド、みなさんもぜひ試してみては?