「裁判官」や「検事」は英語で?裁判に関連する英語表現
ハラハラする駆け引きを経て、どんでん返しで伏線が一気につながるといった見応えのある名作がたくさん存在しますね。法廷映画にはもちろん、裁判用語がたくさん出てきます。
裁判関連の用語となると日本語でも特殊な言葉が多く、慣れないとわかりにくいもの。英語だと、なおさらです。
しかし、そんな専門用語も映画やニュースなどを繰り返し見ているうちに、だんだん頭に入って来ますし、状況から意味もわかってくるため、いつの間にかハードルを感じなくなるのもまた事実。
まだ慣れない人のために、今回は裁判に関する英語表現の基本を確認していきます!
裁判に関する英語表現は、単語が面白い!
裁判に関する英語って難しそうだと思うでしょう。確かに、スペルからして普段の英語とは雰囲気の違う言葉が出てきます。例えば…
- affidavit:宣誓供述書
- plaintiff:原告、訴訟を起こす側。
- subpoena:召喚状、召喚する(発音注意。「サピーナ」のように発音します)
また、一般的な言葉もわざわざ難しい言い換え表現が使われます。
- young(若い)→ juvenile(青少年の)
- postpone(延期する)→ adjourn(延期する)
- address(住所)→ domicile(住所)
見慣れた単語が、まったく別の意味で使われていることにも気付くでしょう。
- minor(マイナーな)→ 未成年の
- trial(トライアル、お試し)→ 裁判
- hearing(ヒアリング、聞くこと)→ 尋問
- case(ケース、事例)→ 判例、訴訟事件
次のようなシンプルな英単語も裁判の場面で使われると、こんな専門的な意味になりますよ。
- rule(ルール)→ 判決を出す
- file(ファイル)→ 申し立てをする
- appeal(アピール)→ 控訴する
- sentence(センテンス、文章)→ 判決を言い渡す、刑
裁判の登場人物たち
まずは、裁判シーンを理解するのに欠かせない登場人物たちの英語表現を知っておきましょう。
suspect|容疑者
Suspect は「疑う」という意味の動詞でもありますが、「容疑者」を指す名詞でもあります。
attorney|弁護士
弁護士というと lawyer が思い浮かぶかもしれませんが、裁判で戦う弁護士には、もっぱら attorney という言葉が使われます。
witness|証人、目撃者
続きまして、「証人者」や「目撃者」は英語では witness と言います。
この単語も動詞としても働くので、例文を見てみましょう。
jury|陪審員団
Jury とは12人から成る陪審員たちのこと。各メンバーは juror と呼ばれます。
prosecutor|検事、検察官
「検事・検察官」は prosecutor と言います。
また、to prosecute は「起訴する」という意味の動詞です。
judge|裁判官
ジャッジ (judge) する人、すなわち「裁判官」です。
よくある裁判シーンのセリフ
ここでは、映画などの裁判のシーンでよく出て来るセリフをいくつかピックアップします。
All rise!
裁判が始まるにあたって裁判官を迎え入れるとき、裁判所職員が All rise!(全員起立!)と言い、この叫び声とともに全員が立ち上がるシーンは付きものです。
Remember you are under oath.
映画では証言の際に Remember, you are under oath(あなたは宣誓していることをお忘れなく)と、ひとこと注意されるシーンもよく出てきます。
この宣誓は、アメリカでは伝統的に宗教、特にキリスト教と強い結びつきがあり、そのため証言者が誓いを暗唱するときに聖書に手をかざすことがよくあります。しかし、これも時代とともに変化しているのです。
多くの映画やテレビ番組で語られる実際の宣誓は、次のようなものです:
Do you swear to tell the truth, the whole truth, and nothing but the truth?
「真実を、ありのままに、ありのままに話すことを誓いますか?」
日本の裁判でも同じように、「良心に従って真実を述べ、何事も隠さず、偽りを述べない旨」を誓わなければなりません。
Your honor
裁判官に返答する際、毎回、発言の最後に聞こえてくるひとことが Your honor です。英語の honor は、地位のある人に向けて使われる敬称なのです。
これは、人々が王様/女王/王族に対して呼びかける Your highness や Your majesty という敬称に似ています。エリザベス2世女王とイギリス王室を巡るドラマの「The Crown」や、イギリスの貴族たちの物語を追う「Downton Abbey」を観たことのある方は聞いたことがあるのではないでしょうか?
I have no further questions.
証人に対して双方それぞれが質問を重ねたあとは、I have no further questions(質問は以上です)というこのセリフで締めくくられます。
「異議あり!」のセリフの実際
映画などの裁判シーンで弁護士ないし検察側から連発される「異議あり!」のセリフ、英語では Objection! と言っています。
それに対して裁判官が言う「異議を認めます」は (Objection) sustained(維持する、続ける)、「異議を棄却します」は Overruled(拒絶する)です。
映画やドラマでは「異議あり!」の応酬は見どころの一つですが、実際の裁判で耳にすることは、まずないそうです。また、フィクションでは容疑者逮捕のあと裁判はサクサクと進んでいきますが、実際は決着が付くまで何年もかかることは、テレビのニュースを思い出しても明らかですね。
ちなみに、Objection!(異議あり!)は米国でも「Ace Attorney」の名で人気を博している日本のゲームシリーズ「逆転裁判」の主人公の有名なキャッチフレーズです。
The defendant is guilty/not guilty.
裁判が終わると、裁判官は陪審員に自分たちの下した判断について尋ねます。 そして、陪審員の1人が立ち上がり、被告人を「有罪」または「無罪」と判断したことを裁判官に伝えます。
そして最後に裁判官が、被告人 (defendant) に有罪か無罪かを言い渡すときに言うのがこのセリフ。「有罪」は guilty、その否定形 not guilty が「無罪」です。
まとめ
裁判に関わらず、専門的な分野で使われる英語表現というのは、慣れない言葉がたくさん出て来るので理解が難しそうだと感じるかもしれません。
しかし、その分野に関するニュースや記事を読んでいくうち、繰り返し出て来る言葉がたくさんあることに気付くはずです。
いくつもの文章に触れていくうちに、いつしか専門的な語彙にもイメージが付けられるようになり、文の意味が理解できるようになっていきます。
最初は、内容を知っているニュースなどから始めるのがコツです!