masa osada
(更新)
「英語はフランクな言葉で、敬語という表現がない」と思っている人が意外とたくさんいます。
たしかに英語表現では、日本語のように丁寧語や謙譲語、尊敬語などを使いわけて相手を立てたり、逆に自分を下げてへりくだったりする必要はありません。
英語の場合、主に相手を立てた丁寧な言い方と、友だちや家族と話すときのカジュアルな言い方のどちらかになるからです。
では、私たち日本人が学校や参考書で学ぶ英語は、「カジュアル」と「丁寧」をうまく使いこなせているでしょうか?
実は、必ずしもそうとは言えません。
英語表現としては間違っていなくても、丁寧に伝えたいときに失礼な言い方をしているシーンがたくさんあります。
今回は、普段から何気なく使っているような英語表現の中から、日本人がよくやりがちな「意外と失礼な言い回し」を4つご紹介します。
中学校の英語の授業を思い出してみましょう。「お願いごとをするときは命令形に “Please” をつける」と習いませんでしたか?
例えば、職場の上司にメールを転送してほしいとき、次の言葉は丁寧な表現と言えるでしょうか?
答えは、その上司との関係やシチュエーションにもよりますが、一般的には「失礼」と言えます。
もともと「Please + 命令形」は丁寧な言い回しです。しかし結局は、上司の意向を無視して「メールを転送して!」と丁寧に命令しているのと変わりません。
職場の上司に日本語でお願いするときは、「メールを転送していただけますか?」や「もしよろしければ転送していただけませんか?」とお伺いを立てますよね。英語でも同じことが言えます。
このようなシチュエーションでは、“could you 〜?” や “would you 〜?” の表現を使いましょう。
Could you forward the email to me?
「メールを僕に転送していただけますか?」Would you mind forwarding the email to me?
「もしよろしければメールを僕に転送していただけませんか?」
“Could you ~” の言い回しを使うときは、“please” を動詞の前、もしくは文末に入れることでより丁寧な伝え方になります。また、“Could you ~” の代わりに “Can you ~” とすることで、少しカジュアルなイメージに変えることもできます。
話している相手の名前やメールアドレス、または電話番号を知りたいときに、あなたは英語でどのように聞きますか?
もしもこんな風に尋ねているのであれば、それは少し失礼な聞き方をしています。
日本語で考えてみれば、わかりやすくなります。
いきなり取引先やお客さんに対して、「あなたは誰?」「電話番号は何番ですか?」とは聞きませんよね。
「お名前(連絡先)を伺ってもよろしいですか?」などという言い回しをするはずです。それは、英語でも同様です。
Could I ask for your name / phone number?
「名前(電話番号)をお伺いしても良いですか?」Could I have your name / phone number ?
「名前(電話番号)をいただいても良いですか?」
“Could I ~?” 以外にも、“May I ~?” や ”Can I ~?” という聞き方もあります。
“May I ~?” はかなり堅い言い方のため、普段あまり耳にすることはありません。状況によっては丁寧すぎる聞こえ方になってしまうので注意が必要です。
また “Can I ~?” は、少しカジュアルでくだけた表現になります。友だち同士や職場の同僚同士で使うぶんには問題ありませんが、相手に丁寧な印象を持ってもらいたいときには避けた方が無難でしょう。
目上の人にコーヒーを出しながら「お砂糖やミルクはいりますか?」と質問するとき、英語ではどのように言うのでしょうか?
このように聞くのは間違いではありません。しかし、正解でもないんです。
“Do you want some sugar and milk?” をニュアンスも含めて日本語に訳すと「砂糖とミルクはいる?」のようになります。もし自分が上司だったら、部下からこのように上から目線で聞かれたら驚きますよね。
同じように、営業マンが取引先の人にアポイントメントを取りたいとき、次のような言い方もよくありません。
この文章も、ニュアンスも含めて日本語に訳すと「ジョーンズさんに会う約束をしたいんだけど」と言っているようなものです。
丁寧な言い方にするためには、“want” ではなく “would like” を使います。さきほど紹介した文章を丁寧な言い回しにすると、次のようになります。
Would you like some sugar and milk?
「コーヒーと砂糖はいかがでしょうか。」I would like to make an appointment to see Mr. Jones.
「ジョーンズさんに会う約束をさせてください。」
友だちや同僚との会話では “want” を使うのもいいですが、目上の人やお客さんに対しては “would like” を使うようにしましょう。
何か質問をされたとき、多くの日本人は “Yes” と “No” だけで答えてしまいがち。
英語圏の家庭や学校では、「“Yes” “No” だけで答えるのは良くない」と厳しくしつけられるほど大切なポイントです。
ネイティブの人たちが注意しているほどなので、私たち日本人ももちろん気をつけるべきと言えるでしょう。
例えば、「コーヒーを飲みたい?」と聞かれたとき。“Yes” や “No” だけで答えると、無愛想や不躾な印象を相手に与えてしまいます。
そのようなときは、次のように答えましょう。
A:Would you like some coffee?
「コーヒーはいかがですか?」
B:Yes, please. / No, thank you.
「はい、ください。 / いいえ、結構です。」
ここでのポイントは、ただ “Yes” や “No” と答えるのではなく、“please” や “thank you” を付け足していることです。
他のパターンも確認してみましょう。
A:Have you been to New Zealand?
「ニュージーランドに行ったことありますか?」
B:Yes, I have. / No I haven’t.
「はい、あります。 / いいえ、ありません。」
この場合に “Yes” や “No” だけで答えると、ただ「はい」「いいえ」とだけ答えているような失礼な印象を与えます。
“Have you 〜?” と尋ねられたのであれば、“Yes, I have.” か “No I haven't.” と答えましょう。もし質問が “Did you 〜?” だった場合は、“Yes, I did.” や “No I didn't.” になりますね。
特に “No” と答えるときは、回答自体がネガティブなイメージのため、言い方次第ですごく無愛想な印象を与えてしまうかもしれません。そんなときには、
No, I haven't but I always wanted to.
「いいえ、行ったことありません。でもいつも行きたいと思ってました。」
このように、“No” の後にフレーズを一言付け加えてあげると、相手への印象がよくなるでしょう。
今回ご紹介したフレーズは、どれも中学校で習う基礎的な英語表現ばかりです。学校で習った言い回しの中には、細かいニュアンスまで教えてもらっていないものもあるのです。
そのため、後になにかの機会で学び直す機会がなければ、失礼な言い方だと気づかぬまま、ずっと使い続けてしまうことでしょう。
英語が母国語ではない日本人であれば、多少間違えて失礼な言い方をしてしまったとしても、ネイティブの人たちは「意図的に失礼な言い方をしているのではないだろう」「悪意はないだろう」とは理解してくれるはずです。そのため、彼らが実際に怒り出すことはほとんどありません。
しかし、できれば印象の良い英語表現できちんと伝えたいものです。今回ご紹介したどの表現も、難しいものではありません。徐々に慣らしていき、少しずつ身に付けていきましょう。