西東 たまき
(更新)
日本の祝日は年間16日あり、先進国中最多といわれています。
筆者の住む東アフリカの国・タンザニアの祝日も16日と数は同じですが、こちらはキリスト教とイスラム教双方の祝日が並存し、年によって日付が変わるキリスト教の復活祭(イースター)関連の祝日もあれば、月の観測状況次第でギリギリにならないと日付が確定しないイスラム関連の祝日なんてものまであります。
このように、祝日についてちょっと知るだけでも、異文化を知る大きなキッカケになるものです。
外国の人にも日本の祝日を英語で説明して、日本文化を理解してもらうチャンスにしてみませんか。
英語で「祝日」を holiday というのは、皆さんご存知の通りです。
イギリス英語では、「祝日」だけでなく、「休暇」(vacation)にも holiday が使われることから、明確に「祝日」を表したいときは public holiday、national holiday などと呼びます。
イギリスでは、祝日は銀行は休みと定められていることから bank holiday という呼び方もされています。
「振替休日」は英語で substitute holiday と言います。
そして、春先にある Good Friday や Easter Monday などイースター関連の祝日のように、毎年日付が変わる「移動祝日」は moveable/movable holiday と呼ばれます。
イスラム関連の祝日となると、moon sighting (月の観察具合)によって判断されるため、直前まで日にちが決まりません。そのような未確定の祝日は、年間カレンダーには tentative (仮)と記されます。
まずは、日本の祝日【早見表】です。
元旦 | New Year's Day |
---|---|
成人の日 | Coming-of-age Day |
建国記念の日 | National Foundation Day |
天皇誕生日 | Emperor's Birthday |
春分の日 | Vernal Equinox Day |
昭和の日 | Shōwa Day |
憲法記念日 | Constitution Memorial Day |
みどりの日 | Greenery Day |
こどもの日 | Children's Day |
海の日 | Marine Day |
山の日 | Mountain Day |
敬老の日 | Respect for the Aged Day |
秋分の日 | Autumnal Equinox Day |
体育の日 | Health-Sports Day |
文化の日 | Culture Day |
勤労感謝の日 | Labor Thanksgiving Day |
ここからは、日本のそれぞれの祝日を説明する際に使える英語フレーズの例をご紹介していきます。
1月1日、元旦 は New Year’s Day。「新しい一年の始まり」ということで、世界各地で前日の New Year’s Eve(大晦日)からお祝いがあるのはテレビなどでご覧の通りです。
けれど、他国でも日本と同じようにお正月を特別な行事として祝うのかといったら、そうとは限りません。
アジアには旧正月を盛大に祝う国々がたくさんありますし、キリスト教徒の国ではクリスマスの方がよほど大事にされています。そのため、1月1日は祝日でも翌日からは平常通りといった、日本人にとってはちょっと物足りない「お正月」になる国は珍しくありません。
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1月の第2月曜日(the second Monday of January)に成人式(Coming-of-Age Ceremony)が行われる成人の日は Coming-of-Age Day と言います。
日本では20歳で成人とされますが、海外では成人年齢18歳という国が多数派です。
2月11日、建国記念の日は、英語で National Foundation Day です。
世界では「建国」の代わりに「独立」の記念日(Independence Day)を持つ国が圧倒的多数になっています。
アメリカでも独立記念日 Fourth of July(7月4日)が盛大にお祝いされますね。在タンザニア・アメリカ大使館でもお祝いの花火が上がり、毎年イベントが行われています。
2020年から、天皇誕生日は12月23日から2月23日に変わりました。文字通り Emperor's Birthday です。
春分の日は Vernal Equinox Day と呼ばれます。
Equinox は昼夜が同じ長さになる日のこと。春のその日には「春」を意味する vernal が使われています。
4月29日、昭和の日は、英語でもそのまま Shōwa Day とされています。
次のような表現で説明をすると良いでしょう。
5月3日の憲法記念日は Constitution Memorial Day です。
Constitution(憲法)+ Memorial Day(記念日)と、そのまま直訳になっています。
そして5月4日のみどりの日は Greenery Day。
次のように説明してみましょう。
5月5日、こどもの日は Children's Day。
せっかくですから、ゴールデンウィークについても説明してみましょう。
7月17日、海の日は Marine Day。日本名がそのまま直訳されています。
2016年から始まり今年が2度目となった8月11日の山の日も同じく Mountain Day と、日本名がそのまま英語になっています。
9月18日、敬老の日は Respect for the Aged Day です。
Respect は「敬意、敬意を示す」の意味、aged は old people(老人)の言い換え表現です。ちなみに「高齢者」は敬意をもって senior citizen や elderly とも呼ばれます。
秋分の日は Autumnal Equinox Day。
春分の日では「春」を意味する vernal が付くのに対して、秋の日には autumnal(秋の)となっています。
10月9日の体育の日は Health-Sports Day。
上記のような説明を加えれば、なぜ引き続きオリンピック開会日を祝日としているのかということも理解してもらえますね。
11月3日、文化の日は Culture Day です。
11月23日の勤労感謝の日は英語で Labour Thanksgiving Day と表記されます。
「サンクスギビング」(Thanksgiving Day)というと北米の祝日が思い起こされますが、実は日本にもあります。
北米の行事は「収穫」(harvest)、日本のは主に「勤労」(labour)に感謝する日になっています。
祝日の意義を考えるだけでも、その国の文化や価値観を伝える手掛かりになることがよく分かりますね。
筆者が住むタンザニアでは、12月から1月中盤にかけて多くの祝日が集まっています。また、4月のイースターの時期も連休が多くなります。
新月が見えるかどうかで判断されるために、何と前日まで休みかどうかが定まらないイスラムの祝日は、全国民が固唾(かたず)を呑んで公式発表を待つという一体感を感じる瞬間にもなります。
日本ではちょっと想像出来ないかもしれませんね!