K. Inoue
(更新)
「布団が吹っ飛んだ」
「コーディネートはこーでねーと」
「トイレに行っトイレ」
似た言葉の響きを利用したこうした言葉遊びのことを「ダジャレ」とか「おやじギャグ」と言いますね。
「ダジャレ」は英語で “pun”(パン)と言いますが、実は英語にも同じようなジョークはたくさんあって、とても親しまれています。
面白いことに、ちょっとお寒いものやくだらないジョークは “Dad Joke”(まさに「おやじギャグ」)と呼ばれることもあり、日本と同じような感覚であしらわれている様子がなんだか微笑ましくもあります。
ということで今回は、英語の勉強の合間にクスっと笑える(?)英語の鉄板ギャグ20選をご紹介します。
「その男は何時に歯医者に行った?二時半だよ」
“tooth”「歯」と “hurt”「痛む」を “two thirty”「二時半」にかけた有名なダジャレです。
「車を失くしたメキシコ人を何と呼ぶ?カルロスさ」
“Carlos” はれっきとした人名。“car”「車」と “loss”「紛失」を合せた発音になることにかけたダジャレです。
「あなたのものではないチーズを何と呼ぶ?ナチョ・チーズさ」
“Nacho Cheese”「ナチョ・チーズ」は “Not your cheese”「あなたのチーズではない」のように聞こえます。固有名詞がフレーズの発音に通じた面白い例です。
「紙についてジョークを聞きたいかい?破れちゃうから気にするなよ」
“tearable”「破れる」の発音を “terrible”「ひどい」にかけたダジャレです。だから裏には「ひどいジョークだから気にしないで」という意味が隠されているわけです。
「学校で誘拐があったって聞いたかい?大丈夫、彼なら目覚めたよ」
和訳では話がまるでかみ合っていませんね。“kidnapping” は「誘拐」のことですが、聞きようによっては “kid napping” のように二語に分かれて聞こえます。
“kid” は「子ども」、“napping” は「居眠りしている」ですから、「学校で居眠りしていた子ども」という話題にすり替わってしまい、後半で「彼は目覚めた」と言っているということです。
「左半身を切り取られたやつのこと聞いたかい?彼は今はもう大丈夫だよ」
これも有名なジョークですが、“all right” は「大丈夫」の他、「全て右」つまり「右半身のみ」の意味にも取れます。意味が分かると怖いですね。
「ビーバーに関する番組を見たところなんだ。今まで見た中でマジで最高の番組だったぜ」
ここでは “dam” が持つ二つの意味がポイントになっています。一つはスラング(damn)で「とても・まったく」のように強調語として用いられること。もう一つは水を溜めておく「ダム(dam)」のことです。
ビーバーには木材を利用して川の水をせき止めてダムを作り、そこを住み家とする習性があります。つまり「(ビーバーの習性による)最高のダムの番組だった」という意味も含まれているということです。少し知識が要求される高度なダジャレです。
「そのシャベルは革新的な発明だ」
“ground-breaking” は「革新的な」という意味を表すイディオムですが、文字通りに読めば「地面を破壊する」ですね。シャベルを使うことで大地を砕く、そんな大げさな冗談が込められています。
「二匹の金魚が水槽にいます。一方の金魚がもう一方に言いました。『これどうやって運転するんだ?』」
“tank” には「水槽」の他に「戦車」の意味もあります。「どうやって運転するか?」と問いかけたのは “tank” を「戦車」の意味で捉えたためですね。
「男性が息子と車を洗っています。 息子:『パパ、スポンジ使ってよ』」
前置詞 “with” の使い方が理解できましたでしょうか。
“with” は「~と一緒に」という意味を表すだけでなく、「~を使って」のように道具の使用を表すこともできます。つまり前半の文は実は「息子と一緒に」ではなく、「車を洗うための道具として息子を使って」というなんともブラックなジョークになっているのです。
だから息子は「(自分ではなく)スポンジを使って」と頼んでいるわけです。非現実的な話とは言え、想像すると怖いですね。
息子:「パパ、日食ってどんなものか教えてくれない?」父:「太陽が無いことだよ」
“sun”「太陽」は “son”「息子」と全く同じ発音です。そこで末尾の “sun” を “son” に入れ替えると「だめだ、息子よ」となり、父は息子に日食について教えてくれないことになります。
でも発音上は「太陽が無いこと」とも言っていることになるわけですから、辻褄が合わなくなりますね。この矛盾を楽しもうというギャグです。
息子:「パパ、猫を外に出してくれない?」父:「火が付いているなんて知らなかったな」
“put ~ out” は「~を外に出す」の他、「~の火を消す」という意味も表す表現です。父親は息子が「猫についた火を消して欲しい」と言っているとわざと誤って捉え、ちょっと意地悪な応答をしています。
息子:「あとで電話するよ」父:「レイタ―なんて呼ぶんじゃない、パパと呼びなさい」
父と子のジョークをもう一つ。これは英語の基本5文型をしっかりと学習された方はバッチリ理解できたはずです。動詞 “call” は “call O C” の形で「OをCと呼ぶ」という意味の第5文型を作ることができる動詞です。
だから息子は父親に「あなたをレイタ―と呼ぶ」と言ったと解釈できるのですね。もちろん “later” は「後で」の意味で理解するのが常識ですね。
「妻は新聞みたいなものだ。毎日発行される」
“issue” の意味がポイントです。新聞や雑誌などの「発行・出版」の他、「問題」という意味でも使います。毎日新しい問題だらけで妻には困り果てているという愚痴が込められているのですね。
「外に立ってるから、もし誰かに聞かれたら私はずば抜けていると伝えてあげてくれ」
“outstanding” は「一般的な範囲の外側に立っている」のような解釈から「ずば抜けて」とか「傑出している」といった意味を表します。物理的に屋外にいることとこの単語をかけたダジャレです。
「サイズが合いもしない新しいベルトに100ドルも使ってしまった。妻は腰回りが太すぎると言う」
“waist”「腰」は “waste”「浪費・無駄遣い」と同じ発音です。サイズが合わないベルトを買ってしまったのは「太りすぎ」が原因であり、しかも「無駄遣い」でもあったと、状況に完璧にマッチする二つの意味を一つの単語で表した見事なダジャレです。
「私のマイクロソフトオフィスのコピーを盗み出した者へ。私はお前を見つけ出す。必ずだ!」
“you have my word” は「必ずだ・約束する」というように相手への固い決意を表すイディオム的フレーズです。
同時にマイクロソフトオフィスを盗んだ相手はソフトウェアの “Word”「ワード」も持っているはずですから、「お前は私のワードも持っているんだからな!」と両方の意味を込めたダジャレになっているわけですね。
「店にスプライトを8缶買いに行った。帰宅したとき、7缶しか買っていなかったことに気が付いた」
“7up”「セブンアップ」という炭酸飲料をご存知でしょうか。“picked 7 up” には「7缶買った」と「セブンアップを買った」の意味に解釈できます。
「原子を信用するな。奴らはあらゆるものを構成するんだ!」
“make up” は「構成する」の他、「でっちあげる」という意味も表します。原子がありもしないものをでっちあげてしまうと恐れているのです。
「DarkはCではなくKで綴られている。暗闇ではCできないからだ」
“can’t C”「Cできない」とは “can’t see” つまり「見ることができない」ために“K”の文字で綴られていると言っています。スペルのアルファベットを使った面白いダジャレです。
いかがだったでしょうか。
このようにわざわざ解説してしまうとなんだかつまらない印象になってしまう気もするかもしれませんね。
ですが、一つのセリフや文章がダジャレによって複数の意味を持つことに気づいたとき、その面白さに笑い、上手さに舌を巻くような体験もきっとできます。自分がうまく使いこなせれば場を和ませたり、なかなか頭の切れる人だな、と相手に思わせたりすることもできるでしょう。
あまりにもしらけさせてしまう危険があるのも事実ですが、それも含めてギャグやダジャレは面白いものだと思います。英語の勉強の息抜きにもしつつ、言葉の面白さに触れ合っていただけていれば嬉しいです。
機会があればぜひどこかで披露してみてはいかがでしょうか。ただし、笑いを取れる保証はありませんので、そこだけはくれぐれもご注意ください。