英語の語順にはルールがある?よく使われる言葉の組み合わせ
「老いも若きも」「長短」「山あり谷あり」など、聞き慣れた表現がありますね。対比する言葉を組み合わせたものですが、これらを逆の語順で使ったらどうでしょうか?
「若きも老いも」「短長」「谷あり山あり」…意味は変わらないのに何だかしっくりしないですよね。
普段あまり意識することがないかもしれませんが、思えばこのように語順が決まっている表現はたくさんありますね。英語でも同じです。しかも、無意識のうちに私たちが馴染んでいる英語の語順は結構あるのですよ!
さて、どういうことなのか、詳しく見ていきましょう!
英語には形容詞にも語順がある
学校では取り立てて重視されないのですが、実は、英語では複数の形容詞を使う場合、「数→大きさ→新旧→色→素材」のように使う順序が決まっています。
例えば…
- Three Little Pigs(童話のタイトル『三匹の子豚』)【数→大きさ】
- little black dress(リトルブラックドレス、黒い定番ワンピース)【大きさ→色】
- vintage leather jacket(ビンテージの革のジャケット)【新旧→素材】
名詞の組み合わせにも順番が!
さらには、名詞がペアになっている表現でも並びが決まっているものがたくさんあります。
例えば、Ladies and gentlemen! と呼びかけるフレーズは誰もがおなじみだと思いますが、Gentlemen and ladies! は聞かないですよね。もちろん、逆にしても意味は通じますが英語として不自然に聞こえます。日本語でも、赤白の代わりに白赤と言ったら違和感がありますよね。
人物をペアにする場合だと、この並びが自然な英語に聞こえます。
- family and friends(家族と友達)
- parents and guardians(ご両親および保護者の方々)
- boys and girls(男児・女児)
- mom and dad(ママとパパ)
- bride and groom(花嫁と花婿)
- husband and wife(夫婦)
- women and children(女性と子供)
- cast and crew(出演者とスタッフ)
よくあるフレーズでも語順が固定されている!
下記のようなフレーズも思い出してみましょう。各ペアは決まった語順で定着しています。
- Is it right or wrong?(それって正しい、それとも間違い?)
- Write your name and address.(あなたの名前と住所を書いてください)
- People come and go.(人々が来ては去る)
- There's good news and bad news. Which do you want to hear first?(良いニュースと悪いニュースがあるけど、どっちを先に聞きたい?)
- It's $9.95 for shipping and handling.(送料と手数料で9.95ドルです)
日本語とは逆の順になるパターンもあるので、うっかり文字通りの訳にしないよう気を付けなければなりません。
- There will be free food and drink for all contestants.(出場者には無料の飲食物を提供する予定です)
- They talked about the good old days.(古き良き時代の話をしていた)
- There are many cats and dogs.(犬猫がたくさんいる)
- The gap between the rich and the poor is getting wider.(貧富の差はますます広がっている)
慣用句でも見られます。音とリズムが心地よい語順になっていますね。
- There are still some bits and pieces to pack.(他にもまだ、あれこれ詰めるものがある)
- I got back safe and sound.(無事に帰りました)
- She won the contest fair and square.(彼女は正々堂々とコンテストを勝ち抜いた)
- I can hear you loud and clear.(はっきりと聞こえますよ)
- We walked to and fro in front of her door.(私たちは彼女のドアの前を行ったり来たりしていた)
なお、to and fro は to and from の書き間違えではありません。To and from は「行き帰り」という意味ですが、to and fro は「行ったり来たり」という意味のフレーズです。
どうやって語順を身につけたらいいの?
語順が大事なことはよくわかりましたが、名詞のペアの場合、形容詞の語順のようなルールもなくどうやって覚えたらよいのでしょうか?
ことわざのような決まり文句として聞き慣れ、習慣として受け入れるしかありません。でも、私たちがすでにカタカナ語で馴染んでいる例も結構あるのですよ。
- high and low(ハイアンドロー)
- up(s) and down(s)(アップダウン)
- Trick or treat!(トリックオアトリート、ハロウィーンの日に子供たちが言うセリフ)
- give and take(ギブアンドテイク)
- bed and breakfast(B&B)
- call and response(コールアンドレスポンス、掛け合い)
- Rock and Roll(ロックンロール)
- R&B/Rhythm and Blues(リズムアンドブルース)
海外のエンタメのタイトルだって、意識する習慣を持つと語順感覚を磨くのに役立ちます。
- Mr. & Mrs. Smith(ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーの映画『Mr. & Mrs. スミス』)
- My Big Fat Greek Wedding(コメディ映画『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』)
- The Thin Red Line(アメリカの戦争映画)
- Black Or White(マイケル・ジャクソンのヒット曲)
- Wanted Dead or Alive(ボンジョヴィのヒット曲)
- Law & Order(アメリカのドラマシリーズ)
- House & Garden(アメリカの雑誌)
- Guys and Dolls(ミュージカル)
こんな食べ物の名前も、きっと聞き覚えがあるのでは?
- cookies and cream(クッキーズ&クリーム)
- sour cream and onion(サワークリーム&オニオン)
- fish and chips(フィッシュ&チップス)
- macaroni and cheese(マカロニ&チーズ)
- bread and butter(パンとバター)
- salt and pepper(塩コショウ)
- ham and eggs(ハムエッグ)
- cream and sugar(クリームと砂糖)
- peanut butter and jelly(ピーナッツバター&ジェリー)
まとめ
英語を学ぶにあたって「主語+動詞+述語」といった文章の語順はもちろん知っていても、形容詞や名詞の組み合わせにまで順番が決まっていることに気付いた人は少ないかもしれません。
しかし、言われてみれば腑に落ちるという表現が記事のなかにたくさんあったのではないでしょうか。言葉の順序は語感にも影響してくるので、言葉を使うにおいて意外と大切な要素になります。
正しい語順はリズム感も良いので感覚に染み付きやすいものです。これからは英語に触れるときはこんなことも意識してみるとよいでしょう。