Mizuho
(更新)
世界120ヵ国、7000人以上の講師が在籍するDMM英会話。
オンラインレッスンを通じて、世界中の講師とコミュニケーションをとるのが楽しみの一つ、という方も多いのではないでしょうか?
しかし、25分間のレッスンで知れるのは講師のほんの一部…
そこで、新連載「DMM英会話 TUTOR'S VOICE」がスタート!
このシリーズでは、DMM英会話講師がどんな人なのか、バックグラウンドやレッスンの裏に隠された素顔に迫ります。
記念すべき第1回目は、セルビア共和国のBob Brさんです。
国:セルビア共和国
DMM英会話講師歴:1年 (2020年11月時点)
趣味:ピアノ、作曲
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実はBobさんは、盲目の英会話講師。
「目が見えないのにどうやってレッスンを?」と思ってしまいますが、ユーザーのみなさんからは「めちゃくちゃ面白い!」「また話したい!」と絶賛の嵐!
そして、10言語を操るマルチリンガルというから驚きです!
これはBobさんから学ぶべきことがたくさんあるにちがいない…。
というわけで、大人気講師Bobさんにオンラインでインタビューを実施し、日々の様子から言語学習の秘訣まで、たっぷりとお話を聞いてきました!
18歳。ナイアガラの滝にて
ー よろしくお願いします。まず簡単に自己紹介をお願いします。
Bobといいます。年齢は30歳で、10の言語を話すことができます。両親ともセルビア人で私もセルビアで生まれましたが、生後すぐアメリカに移住したため、セルビアとアメリカの二つの国籍を持っています。
ユーザーのみなさんにはよく驚かれるのですが、実は完全に失明しているんです。Incubator blindness といって、生後間も無く保育器の中で高濃度の酸素を投与されたことによって失明しました。
本職はサイバーセキュリティをハッカーなどの犯罪者から守る、ITスペシャリストです。仕事の本拠地はアメリカなのですが、パソコンとインターネットがあれば作業ができるので、現在はセルビアにいます。また、システムやウェブサイト、ソフトウェアなどのプログラム作成をすることもあります。
ー DMM英会話講師になったきっかけは? また講師になってから、何か変化はありましたか?
私の人生の目標は「人を助けること」なので、いろいろな活動の一つとして言語を教え始めました。英会話講師は副業にあたりますが、私の1日の睡眠時間は2〜3時間なので、どちらの仕事もまっとうできています。
以前は中東やアフリカの人の言語学習をサポートすることが多かったですが、DMM英会話の講師になってからは、特に日本に英語学習者のお手伝いができているような気がします。またそのおかげで、日本とその近隣諸国について多くのことを学べていると思います。
ー 2〜3時間しか寝ないんですか?!
長く寝ても3時間ですね。時には2、3日寝ないこともありますよ。私にとっては幼少期からこれが普通なんです。
普段のスケジュールでは朝起きて7時から19時まで英会話レッスンをしています。19時以降は英会話レッスン以外のボランティア活動や、本職のITスペシャリストとしての時間にあてて、22時くらいまで作業することが多いですね。
そしてまた22時くらいから朝1時までレッスンをして、その後4時まで本職の仕事をします。本職をしていないときは人を助けることに専念するか、ピアノを弾くのが好きなので作曲したりしています。
ほかの人を助けることでその人が幸せになってくれると、私も幸せに感じるんです。
だから、孤独に感じている人の話し相手になったり、パソコンの修理をしたり、いろいろな活動に時間をあてています。英会話講師をしている理由もここにありますね。
ー いろいろなカタチで、「人を助ける」ということをしていらっしゃるんですね!
先ほど10言語を使えるとお話しされていましたが、どの言語ができますか? そしてなぜそんなに多くの言語を操れるのでしょう?
言語はコミュニケーションを取る上でのツールですよね。もし私が英語しか話せなくて、助けを必要とする人が英語以外の言語しかできないときに、その人を助けたくてもコミュニケーションが取れなくなってしまいます。
例えば私がイタリアに行ったとき、言語が違うために道を聞いた人とコミュニケーションを取ることができませんでした。そこで、次にイタリアに行くまでにイタリア語を学習したんです。
自分が話す言語を増やせば、コミュニケーションが取れないという問題は解決しますからね。
私は50言語話せるようになりたいと思っているので、10言語ではまだまだなんです。
ー 10言語でまだまだとは… 言語を習得するうえでの秘訣は何なのでしょう?
練習が全てですね。
だいたい1つの言語の学習に1ヶ月くらいかけるのですが、まず言語に限らず、物事の習得にはいくつか心に留めておくべきポイントがあります。
そのポイントとは、次の5つです。
特に「継続」については、シンプルですが1日に少しでもいいから新しい言語を練習することです。
人は「成し遂げたい」と思うことに対しては、時間を作ることができます。でも「したくない」と思うことに関しては、簡単にやらない理由を見つけられてしまうんです。
「今日は5時間練習したから明日はしない」というのでは身につかないので、これら全てのポイントを押さえて取り組む必要があります。
ー 耳が痛いです… 私も勉強しない理由を見つけがちなので…
それではなかなか上達しないので、先ほどのポイントを覚えておくといいですよ。言語習得に関しては、これらをベースに4つのシンプルなステップを自分の中で設定しているんです。
1つ目は、「できる限り聞くこと」。例えば、日本語の単語を学ぶために私は音源をダウンロードして、日本語での会話を聞き続けています。
そして2つ目は一番重要であり、難しいステップでもあるのですが、「人と話してみること」です。話してみることによって徐々に新しい言語でも多くのことを理解できるようになります。そうすると、自然に自信がつくんですね。
自信がついたら今度は3つ目の「テストをする」ステップに進みます。「テスト」といっても、テレビ番組や映画を見たり、音楽を聞くなどして、自分のことを試してみるんです。
会話をするときって、話題は自分である程度コントロールすることができますよね。すると、自信のある分野についてだけ話しがちです。自分が好きな話題だったら、意外と簡単に新しい単語でも覚えることができますからね。
でもそれだと、「自分は話せるようになった」という錯覚を起こしてしまいます。そこで自分の理解レベルを知るために、映画やテレビ番組など、自分でコントロールできる部分が少ないものに触れるのが最適なんです。
そして最終ステップでは、「書いたり読んだりして文法などを理論的に使いこなせる」ように練習します。いつもこれらのステップを踏むことによって、言語を学習しています。信じて続けていれば、必ず結果がついてきます。
23歳。ロサンゼルスにて
ー DMM英会話レッスンを通して、何か気づきのようなものはありましたか?
例えば、高校で歴史の先生をしている方とレッスンをしたときには、私も日本史の勉強をしたことがあったので、一緒に試験の問題を作ろうという話になりました。レッスン中は歴史に関するディベートをして、お互いに学びの時間になったと感じています。
また日本をはじめとしたアジアの方とレッスンをする中で、アメリカ人は単刀直入だということに気づきました。あまり後先考えずに思ったことを口にするんですね。
それに比べてアジアの人たちは、本当は何を思っているのか、あまり直接的に伝えてはくれません。例えば、レッスンの最後に「何か質問はありますか?」と聞くと、実際は質問があっても「ないです」と言われることがあります。
そこで、言葉だけでなく雰囲気から、気持ちや考えを読み取らなければいけないのだと知りました。人が思っていることを読み取ることは私にとって苦手分野なんです。でも、レッスンを重ねるごとにそれぞれの文化について学んでいるので、だんだん慣れてきました。
ー その違いは確かに大きいかもしれないですね。ではこれまでのレッスンの中で、特に印象的だったエピソードはありますか?
 たくさんありますよ! 例えば私が教えているユーザーの一人は、109歳なんです。年齢を知ったときは、とても驚きました。
最初に「英語を学ぶのにはご高齢じゃないですか?」と聞いたんです。すると、「毎日10km走っていますから年寄りではないです!」と言うではありませんか。私は30歳ですが、1日に50m歩くか歩かないかくらいなので、「確かに私より若いですね!」と伝えました。
1年ほどレッスンをしていますが、彼は新たにプログラミングを学びたいそうです。彼とレッスンをすることで、年齢によって老いが決まるわけではないということを知りました。精神が若ければ、年齢など関係ないわけです。
「自分は年だ」と口にするのは、言い訳になるんですね。新しいことにチャレンジし続けている限り、若さを保てるんです。人は死ぬまで学び続けるのだと私は思っています。
ー なんだか勇気をもらえました!
では、Bobさんがレッスンをするときに心がけていることは何かありますか?
初心者の方にいきなりアメリカの国際政治について話すことはできないし、上級者の方に this is a dog と簡単な英語を教えるわけにもいきません。声の大きさや、話すスピードも、それぞれの人に合わせる必要がありますね。
2つ目に、ユーザーが何を求めているのかを明確にすることです。
例えば、アクセントを上達させたいのか、リーディングやリスニングのスキルアップをしたいのかなどですね。何においてもサポートをするときには、その人の目標や想定していること、計画などに合わせていくことが大事なんです。
ー では反対に、ユーザーのみなさんはレッスンを受ける際に、どんなことを心に留めておくべきだと思いますか?
2つあります。1つ目は、目標や行動する理由について明確にすることですね。たまに英語学習の目的を聞くと、「わからない」と答える方がいます。理由がわからないものに時間をかけるのはもったいないです。
英語に限らず、全てのことにおいて「なぜするのか」「どうすればいいのか」という点は明確にしておく必要があります。
もう一つ念頭においておくべきことは、「誰も完璧ではない」ということ。
間違ったとしても、それは悲劇にはなりません。間違いをすることは良いことだと思います。
10の間違いをしてもかまいません。ただ、同じ間違いを10回するのは問題です。他人の間違いから学ぶことも大切ですが、いつもそれができるわけではないので、自分の間違いから学べるようになると良いと思います。
ー どんな風に使うと、DMM英会話は効果的だと思いますか?
先ほどもお話しましたが、継続することです。本当に力をつけたいのなら、毎日続けなければいけません。そうすると頭が学ぶことに慣れてくれるし、練習の成果は日々向上していくはずです。
もしも成長を感じられない場合は、新しい教材や講師を選んで、違う方法を模索する必要があります。それでもなお、努力し続けること、これが一番大切なことです。
30歳。ベオグラードの自宅にて
ー DMM英会話で何かお気に入りの教材はありますか?
私の1番のお気に入りは『フリートーク』です。フリートークならユーザーとしっかり向き合うことができますし、ユーザーにとっても私のことを知ってくれる機会になります。
でもあえてお気に入りの教材を挙げるとしたら、『会話』教材ですかね。トピックの内容がとても深いし、ディスカッションもふんだんに用意されていますからね。
そして、『デイリーニュース』も外せません。CNNなどのニュースを見る必要もないほど充実していますし、ヨーロッパやアメリカ、中東など、見たい地域に絞ってニュースを調べることができます。
私にとってはこの3つがお気に入りです。
ー Bobさんは視覚障害を持っていらっしゃいますが、どのようにレッスンをしているのでしょうか?
レッスンだけでなく、本職からボランティア活動にいたるまで、「スクリーンリーダー」というものを使っています。スクリーンリーダーはコンピューターなどの機器に入れることで、私がしている動作とスクリーン上で起きていることを声に出して読み上げてくれるんです。
DMM英会話の教材の多くはこのソフトを使うことでレッスンをすることが可能です。特に『会話』教材と『デイリーニュース』は、スクリーンリーダーを使うのに適しています。
『写真描写』や『Grammar in Use』など画像を使った教材は、残念ながらスクリーンリーダーが読むことができないので、これらの教材を選択された場合は、ユーザーに変更していただくようお願いしています。
「どうやってコンピューターを使っているの?」とよく聞かれるのですが、耳と指を使って操作しているわけです。もしも情報が足りない場合は、教材の設問を読んでどんなことが話題になっているのかを想像しながらレッスンをしています。
ー スクリーンリーダーでコンピューターから情報を聞きつつ、ユーザーとも会話をしている…ということですか?
そうです。例えば、例文を私が読み上げるときは、スクリーンリーダーの声を聞いて、そのまま音読しています。
それをユーザーも復唱するわけです。もちろん、相手にスクリーンリーダーの声は聞こえていませんが。
ー 2、3の声が流れる中でレッスンされているんですね。想像もつかないです…
音に関連してお聞きしたいのですが、ピアノを弾くことがお好きなんですよね。
最初はピアノを持っているクラスメイトの家で弾かせてもらっていたんです。絶対音感があるおかげで、すぐに弾けるようになり、最終的には音楽学校にも行くことができました。
ー 作曲をするのが好きとおっしゃっていましたが、どんな曲を作るのですか?
クラシックや、映画のサウンドトラックのような曲を作るのが好きですね。ピアノを弾いていると、リラックスするんです。想像力を使って作曲しています。
ちなみにこの曲は即興で作って演奏したものです。
人助けをしているときもリラックスできますが、ピアノを弾いているときは自分だけの大切な時間という感じです。
ー なんだか人ってすごい可能性を持っているんだなと気づかされました!
言語の話題に戻りますが、Bobさんにとって英語とはなんでしょうか?
母国語ですから、好きであろうと嫌いであろうと、使わなければならないものですね。呼吸と同じ。
だから、英語は「人生」ともいえます。英語のおかげで人と意思疎通できるわけですから。
ー Bobさんの今後の目標があれば教えてください。
まず、最低でも50言語話せるようになることですね。
あと実は、私は三つ子なのですが、妹の一人も失明しているので、彼女の視覚をどうにか取り戻してあげたいです。彼女も音楽をしていて、妹の方が視覚が必要なので。
そして最後に、何かしら人を助けることのできる組織を作ることです。今私が活動しているオンライン上だけでなく、助けを必要としている人が集まれる場所を作りたいと思っています。
ー 最後にユーザーのみなさんにメッセージをお願いします。
難しいことや壁にぶち当たることがあるかもしれませんが、戦うことをやめずに自分の目標に向かって進んでください。
いろいろな引き出しを持つBobさんのインタビュー、いかがでしたか?
インタビューを通して、Bobさんの人への思いやり、崇高な志に感動し、最後には編集部スタッフ揃って涙が出そうになってしまいました。
言語学習の秘訣や、目標や目的の大切さなど、10もの言語を操るBobさんからのアドバイス、ぜひ参考にしてみてくださいね!
▼講師ページはこちら
https://eikaiwa.dmm.com/teacher/index/33503/