The opposite of love is not hate, it's indifference.
The opposite of beauty is not ugliness, it's indifference.
The opposite of faith is not heresy, it's indifference.
これは1986年のノーベル平和賞受賞者でユダヤ人作家/ボストン大学教授のエリ・ヴィーゼル Elie Wieselの言葉です。
この三つの言葉の次に
And the opposite of life is not death, but indifference between life and death.
と続きます。
つまりこの一連は愛についてではなくindifferenceについて述べているのですね。
indifferenceを機械的に無関心と覚えてしまっていると、彼の言葉は理解できなくなってしまいます。ネイティブにも誤解が多いのでヴィーゼルはあえてこういう対比をして見せたのでしょう。indifferenceとは愛の反対であり、美の反対であり、信仰(信じる心)の反対であり、生の反対でもある。
それは何?
indifferenceはdifferenceの前に反と言う意味の接頭語inがついている単語です。
英英辞書を引くと
a archaic : lack of difference or distinction between two or more things
b : absence of compulsion to or toward one thing or another
とあり、昔は違いがない、偏りがないと言う意味で使われていたが、今はものや人に対する衝動的な欲望を欠くこととなっています。
無関心、冷淡という訳語も間違いではないですが、無感情の方が良いかもしれませんね。
すると
And the opposite of life is not death, but indifference between life and death.
は、
生の反対は死ではなく、生きているとも死んでいるともつかない無感情な状態である。
となります。
ヴィーゼルはナチスの強制収容所の生存者で、家族を全員収容所で亡くしていることを考えるとindifferenceの意味がじわっときますね。